2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病に対する術者ブラッシングと初診時感染源除去法の臨床的評価と分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
18791613
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
玉木 直文 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (20335615)
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Keywords | 歯周病 / つまようじ法 / 初診時感染源除去法 / 臨床指標 / 歯肉炎指数 / 歯垢指数 |
Research Abstract |
歯周病患者に対して,機械的刺激を重視した術者ブラッシングと細菌の徹底的な除去を目的とした初診時感染源除去法の2種の処置を行い臨床指標で比較することを目的とした。 岡山大学病院予防歯科に来院した患者のうち本研究について同意が得られ,20本以上の歯があり,プロービング・デプスが5mm以上の歯を4本以上有する者12名を対象とした。臨床指標は,歯肉炎指数,歯垢指数,プロービング・デプス,アタッチメント・レベル,プロービング時の出血をシングルブラインドで行った。治療期間は28日で,7日目までは毎日処置を行い,その後は14,21,28日目に治療を行なった。処置内容は,つまようじ法による術者ブラッシングと初診時感染源除去法とし,対象者をランダムに分けた。 両群とも,初診時よりも7日目で臨床指標が統計学的有意に改善された。プロービング時の出血は,術者ブラッシングでは28日目において初診時よりも84%の改善率が認められ,初診時感染源除去法では79%であった。プロービング・デプスは初診時と28日目を比べると,それぞれ42%,30%減少した。また,治療時間は術者ブラッシングで15.7±2.7分だったのに対し,初診時感染源除去法で初めの2日が90.3±4.5分で,それ以降は29.6±1.9分であった。 今回の対象歯はプロービング・デプスが5mm以上と深く,ブラッシング時に歯肉縁下歯垢が除去されたとは考えにくいにもかかわらず臨床指標は改善した。歯肉への機械的刺激が縁下歯垢除去なしで炎症を減少させたことは,歯肉結合組織の代謝が亢進し,歯肉組織の修復が早まったためであると考えられる。また,臨床指標の改善において両群ともほぼ同等の効果があったが,診療時間は術者ブラッシングの方がかなり短時間であった。歯周病の治療では病原因子を取り除くことだけではなく,宿主の抵抗力を増加させることが重要であると考える。
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