2006 Fiscal Year Annual Research Report
「望ましい死」の達成を測定する尺度の開発と全国実態調査
Project/Area Number |
18791661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 光令 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90301142)
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Keywords | 緩和ケア / 終末期医療 / 評価尺度 / 意識調査 / 望ましい死 / ターミナルケア / ホスピス |
Research Abstract |
平成18年度は遺族評価による「望ましい死」の達成を評価する尺度の開発を行った。調査対象は首都圏のがん診療拠点病院の一般病棟・緩和ケア病棟において2004年9月〜2006年2月のがん死亡患者の遺族とした。344人の遺族に調査を行い、189人から有効回答を得た(57%)。因子分析の結果、54項目から構成されるGood Death Inventory(GDI)を確定した。GDIはコアドメイン「からだや心のつらさが和らげられている」「望んだ場所で過ごす」「希望や楽しみをもって過ごす」「医師や看護師を信頼できる」「家族や他人の負担にならない」「ご家族やご友人とよい関係でいる」「自分のことが自分でできる」「落ち着いた環境で過ごす」「ひととして大切にされる」「人生をまっとうしたと感じられる」および追加ドメイン「できるだけの治療を受ける」「自然なかたちで過ごせる」「伝えたいことを伝えておける」「先ざきのことを自分で決められる」「病気や死を意識しないで過ごす」「他人に弱った姿を見せない」「生きていることに価値を感じられる」「信仰に支えられている」から構成された。同時的妥当性として各ドメインはCare Evaluation Scale(CES)・全般満足度と十分な相関が得られた。GDIは全体として高い内的一貫性であった(α=0.74-0.95)。また、再調査による信頼性は許容できるものであった(ICC=0.38-0.72)。最後に、18項目からなる短縮版GDIの開発を行った。 また、首都圏の4大学病院で造血器腫瘍による死亡患者の遺族103名に対する遺族調査を行った。CESによるケア評価は緩和ケア病棟の遺族に対する先行研究に比べて有意に低く、望ましい死が達成されている割合は21%-78%であり、造血器腫瘍における緩和ケアには改善の余地があることが示された。
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Research Products
(4 results)