2006 Fiscal Year Annual Research Report
養殖魚の安全性確保のための残留医薬品分析法の開発ならびに適切投与量の評価
Project/Area Number |
18800040
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Research Institution | Siebold University of Nagasaki |
Principal Investigator |
岸田 邦博 県立長崎シーボルト大学, 看護栄養学部, 助手 (30412703)
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Keywords | 食の安全 / 食品衛生 / 分析化学 / 抗生物質 |
Research Abstract |
わが国の漁業生産において養殖業の存在は大きく、需要拡大に伴う過密養殖は水産用医薬品の使用を増加させ、その結果、医薬品が養殖魚に残留するという食品衛生上の問題が発生した。平成18年5月29日よりポジティブリスト制度が施行され、残留医薬品等の規制がより厳しくなり、消費者の立場に立てば監視の目的で、養殖業者の立場では出荷前の検査の目的で、養殖魚中の残留医薬品の分析法の確立が重要である。医薬品投与に直接関与する養殖業者が残留濃度の詳細を経時的に把握できる簡便・迅速な分析法を活用できる状況を実現することこそが、医薬品の誤用及び濫用を防ぎ、残留医薬品問題の根本的な解決に近づくと考えている。そこで本研究は、養殖業者が出荷前に投与歴のある医薬品を簡易・迅速に測定できる分析法の開発を目的とした。まずテトラサイクリン系抗生物質4種(オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、ドキシサイクリン)を対象医薬品とした。 前処理法の検討として、ごく少量のサンプルで検査できるように、ビーズ式細胞破砕装置を用い抽出条件の検討を行った。破砕に用いるビーズは十分にホモジナイズできるよう、ジルコニアビーズを使用し、筋肉等のサンプル0.3g、抽出溶媒0.8〜1.2mlに対して内径3mmのものを3個使用することで十分にホモジナイズできることを確認した。除タンパク能及び回収率に優れた抽出溶媒の種類および比率を現在検討中である。 定性及び定量には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、上記の4種医薬品を同時分析するためにHPLC用カラム、移動相等、測定条件の検討を行った。その結果、最も一般的なHPLC用カラムであるODSカラムでは良好な結果は得られなかったが、Pentafluorophenylpropyl基を導入したフッ素含有逆相カラムを使用することによりピーク形状及びリテンションタイムともに良好かつ再現性の高い結果が得られた。今後はこれまでに得られた知見をもとに、前処理から測定まで分析法全体の評価を行う予定である。
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