2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18800071
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
中込 隆之 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (80434950)
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Keywords | 脳梗塞 / 神経幹細胞 / 神経再生 / マウス |
Research Abstract |
平成18年度は脳梗塞巣から得られた神経幹細胞の特性について検討した。 方法として、6〜10週令の雄SCIDマウスを用い、中大脳動脈永久閉塞により、脳梗塞を作成した(J Clin Invest,1114:330,2004)。脳梗塞作成1週間後に断頭し、梗塞瘢痕部のみを取り出し18,23,27ゲージの注射針で物理的に細かくした後にEGF, bFGF, N2存在下DMEM/F12培地で培養した。培養後得られたneurosphere様細胞塊に対し、RT-PCR、免疫組織化学染色を施行し、神経系マーカーの発現を検討した。FACSでは幹細胞のマーカーであるNotch-1の発現を調べた。また分化した細胞が機能的な作用をもった神経細胞であるがどうかを検討するために電気生理学的検討(Patch clamp)も行った。 その結果、脳梗塞1週間目の梗塞瘢痕部から、培養2日後にneurosphere様細胞塊が出現した。培養14日後には直径80μm以上の細胞塊が1dishあたり約50個得られた。細胞塊(培養6日後)は幹細胞のマーカーであるNotch-1に加えて、神経幹細胞のマーカーであるnestinを発現していた。またFACS(培養14日後)でも〜40%の細胞にNotch-1の発現を認めた。細胞塊(培養6日後)を分化させRT-PCRで検討したところ、Westin, MAP, GFAP, PLPの発現を認めた。さらに、免疫組織化学染色でもMAP2, Tuj1, GFAP, 04の発現が確認できた。最後に、分化させた細胞の一部はNaチャンネルをもつ機能的な神経細胞であることが確認された。 以上より、脳梗塞瘢痕部にはニューロン、アストログリア、オリゴデンドロサイトの3系統へ分化する内在性神経幹細胞が存在することが確認できた。今後、この神経幹細胞の特性に関し、さらなる検討をし、その起源や神経分化因子を解明していくと同時に、この細胞を脳梗塞後のマウスに移植し、その生着、分化に関する検討をしていく予定である。
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