2006 Fiscal Year Annual Research Report
フランス演劇(1680年-1765年)における男装の表象
Project/Area Number |
18820046
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中山 智子 京都外国語大学, 外国語学部, 講師 (80434645)
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Keywords | フランス文学 / 演劇史 / 異性装 / 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
近代フランスの舞台芸術おける性の表象と衣裳との関係を、男装のヒロインという観点から検討するため、本年度は研究の対象とする戯曲の手稿の解読(いずれも未出版のもの)及び分析を行った。そのうち、Donminique, La Folle raisonnable及びFuzeher, La Melusineを活字化した原稿については、現在ナント大学のF.リュペラン教授に校閲を依頼している。 Legrand, L'Jmpromptu de la Folie ; Dominique, Romagnesi, Fuzelier, L'Italienne francaise ; Romagnesi, Le Retour de la tragedie francaiseについては、ナント大学文学部縁日芝居研究センター所属の研究者G.マロと共同で、註や用語解説を付記した校訂版の編集作業を行い、詳細な註及び当時の演劇状況、作品成立の過程についての解説を付記した校訂版をフランスにて出版した。 これらの戯曲は、アルルカンに変装する女優を劇団史上初めて舞台に登場させたコメディ=フランセーズと、コメディア・デラルテのシンボル的存在を盗用されたイタリア人劇団の反撃の様子を物語る、演劇史的にも価値の高い資料である。作品分析と当時の劇評の研究により、高度な演技力を持った女優による男装が観客の注目を集めたことと、当時の劇団間の熾烈な競争において、観客を引き寄せるため重要な劇作法として用いられたことが確認された。従来の作者あるいは劇団別の作品分析ではなく、役と演技者、劇団間の関係などの複合的視点から男装を研究することが不可欠であるという認識を得た。 なお、共同編集で作成したこの校訂版を元に、ロワール・アトランティック文化会館(於ナント市)にてドラマ・リーディングが行われ、一般市民に公開された(2006年11月)。
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Research Products
(1 results)