2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18830046
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
濱崎 録 香川大学, 法学部, 講師 (90432773)
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Keywords | 民事訴訟法 / 証拠調べ |
Research Abstract |
平成18年度は、「迅速な裁判のための証拠収集手続論」の課題について、年度当初にあげた目標達成のため、1、日本国内における証拠収集手続をめぐる具体的問題についての検討と、2、証拠収集手続にかかる問題を検討するにあたり参考とすべき外国(おもにドイツ)の同様の制度についての情報収集と分析を行った。 平成18年度においては、特に日本国内における証拠収集手続に関する問題として、文書提出義務をめぐる近年の判例の分析と先行研究のとりまとめを行った。この過程で、判例(最高裁判所平成17年11月10日第一小法廷決定)を取り上げて考察を行い、判例研究を福岡民事訴訟判例研究会(2007年1月開催)において報告した。この判例研究および関連する文書提出義務にかかる問題の考察は、判例研究として、法政研究(九州大学法政学会)74巻1号においてその成果を発表予定である。 上記の判例研究は、日本における近年の民事訴訟法改正に伴い、証拠収集手続のなかでももっとも大きな改正がなされた文書提出義務に関する最高裁決定についての考察である。本判例は、市議会の会派所属の議員が政務調査費を用いて行った出張に関する報告書の文書提出をめぐる事例である。この判例についての考察を通し、本研究の課題である「迅速な裁判のための証拠収集手続論」について、日本の証拠収集手続における具体的問題状況の一端を事例とともに明らかになった。 19年度は、考察の範囲をさらに広げ、日本における証拠収集手続きにおける具体的な問題状況を明らかにしつつ、外国の制度との比較法的考察を試みる予定である。
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