2006 Fiscal Year Annual Research Report
原子状水素処理による有機薄膜トランジスタの特性向上
Project/Area Number |
18850020
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
部家 彰 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 助手 (80418871)
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Keywords | 原子状水素 / 表面改質 / 表面自由エネルギ |
Research Abstract |
本研究では加熱触媒体上で効率よく生成した原子状水素を利用した新しい低温表面処理法「原子状水素処理法」を提案し、原子状水素処理の物理的・化学的現象を明らかとし、本手法を用いて有機トランジスタの電子移動度および閾値電圧の低減を試みていている。具体的には基板および有機半導体膜形成後の原子状水素処理による有機半導体膜の結晶粒径の増加、界面準位密度の低減である。 本年度はまず原子状水素発生装置とサンプル冷却ホルダの作製を行った。その後、原子状水素処理の有機材料(プラスチック基板)に対する効果を主に検討した。処理条件はH_2流量400sccm、触媒体温度1700℃、ガス圧30Pa、時間3min、基板温度100℃である。ポリエチレンナフタテート基板に原子状水素処理を行った場合、表面ラフネスの増加(1.4→1.9nm)と表面自由エネルギの減少(39→32dyne/cm)を確認した。また、分光エリプソメトリによる解析から、原子状水素処理による表面改質層は5nmであり、表面形状の変化だけではなく、材質(屈折率)の変化も確認された。H_2ガスの代わりにHeガスを用いた比較実験を行ったが、Heでは基板の表面改質は起こらず、本処理が原子状水素の化学反応に起因することが確認された。さらにプラスチックの材質により、原子状水素の効果が異なることも明らかとなった。 以上のことから基板表面を改質することにより、その基板上に形成される有機半導体膜の特性を変化させることが期待できることが確認された。
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