2006 Fiscal Year Annual Research Report
グラフォエピタキシーによる有機薄膜の面内配向制御と電界効果トランジスタへの応用
Project/Area Number |
18860020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 進 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助手 (20401234)
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Keywords | グラフォエピタキシー / 有機半導体 / アモルファス基板 / 表面微細加工 / 面内配向制御 / 電界効果トランジスタ |
Research Abstract |
平成18年度は有機薄膜におけるグラフォエピタキシーのメカニズム解明に取り組んだ。無機材料のグラフォエピタキシーでは、人工周期溝のエッジにおける核形成時に方位が定まる場合と、成長過程で結晶が回転し方向が定まる場合があり、2つのメカニズムが知られている。本研究ではまずこの1点を明らかにするために、材料としては有機半導体α-sexithiophene(6T)を用い、(1)熱酸化シリコン基板表面にリソグラフィーによって形成する人工周期構造(溝)のピッチ、および、(2)基板表面の化学状態を変化させ、これら2つの要因がグラフォエピタキシーに及ぼす影響を解析することによって、そのメカニズムを考察した。(1)の実験においては人工周期溝のピッチを広げるとエピタキシー成分が減少したことから、基板に吸着した分子が直接、あるいは基板表面を拡散してエッジまで到達する確率が高いほど方位が揃いやすい、すなわちエッジで核形成が有機グラフォエピタキシーのメカニズムに関与していることが示唆された。また更に(2)の実験において、基板表面の化学状態によって溝方向に対する6Tのエピタシキー方位が変化するという現象を新たに見出した。この現象は、エッジにおける核形成の際に、エッジ壁面の化学種との相互作用によって方位が定まる(変化しうる)ことを強く示唆しており、エッジでの核形成がメカニズムとして重要であるという基礎的知見が得られたのみならず、簡単な基板表面処理によって薄膜方位を積極的に制御できるという、応用面での重要性も示している。
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