2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18890048
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下川 淳 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (60431889)
|
Keywords | 天然物 / 全合成 / アルカロイド / ゲルセミウム属アルカロイド / アゼチジン環 / オキシンドール / スピロ化合物 |
Research Abstract |
ゲルセモキソニンは、1991年、LinらによりGelsemium elegansの葉より単離されたアルカロイドである。2003年に千葉大学の相見らによってその構造が訂正され、立体選択的合成の難しいスピロインドリノン骨格に加え、インドールアルカロイドとしては珍しくアゼチジン環を有する、5環性の化合物であることが分かった。本年度は、ゲルセモキソニンの効率的な全合成に向けて、新たな合成戦略に基づき研究を行った。 これまでの研究により7員環の形成反応についてはジビニルシクロプロパン転位を用いる効率的な方法を見いだしていたが、その後のアゼチジン環およびテトラヒドロピラン環の構築に関しては未だ問題を残していた。そこで計画にもあったとおり、全く新しい方法によりその骨格構築を行った。すなわち、アゼチジン環を窒素原子によるアルコールの反転によって合成することとし、原料となるアミノアルコールはイソオキサゾリンのC-N二重結合に対してアルデヒド等価体であるジオキソランを立体選択的に導入した後にN-O結合を切断することで得ることとした。またイソキサゾリン環はオキシムに対して次亜塩素酸ナトリウム水溶液を作用させることによって生成するニトリルオキシドの、分子内1,3-双極子付加環化反応を用いて構築することとした。 現在までにcis-2-butene-1,4-diol bis-glycidyl etherを原料として6段階収率64%と高収率でイソキサゾリン環を構築する方法を確立している。また引き続くベンゾフェノンを増感剤に用いた光反応によるC-N二重結合に対するジオキソラン骨格の導入およびその後のN-O結合切断に引き続く環化反応によって効率的なアゼチジン環構築に成功している。現在はオキシンドール骨格の導入およびその後の7員環形成反応について検討を行っている。
|