2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動依存的な脳由来神経栄養因子BDNF mRNAの安定化機構解明
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18890070
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
福地 守 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (40432108)
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Keywords | 脳由来神経栄養因子 / 転写後制御 / 神経活動依存的 / mRNA安定化 / 3'非翻訳領域 / ポリA付加シグナル |
Research Abstract |
ニューロンにおいて遺伝子発現は、様々な高次脳・神経機能発現に重要なイベントである。特に、神経活動依存的に誘導されるカルシウムシグナルは、ある一連の遺伝子発現を制御し、ニューロンの生存や分化、さらには記憶・学習の分子基盤として知られるシナプス可塑性に関与する。これまで我々は、特にカルシウムシグナル依存的に発現が上昇する脳由来神経栄養因子BDNFに着目し、BDNF遺伝子の転写活性化機構の解明を行ってきた。しかし一方で、BDNFmRNAがカルシウムシグナル依存的に安定化されることを新たに発見し、神経活動により遺伝子の転写だけでなく転写後調節も制御されていることを示した。 そこで、ニューロンにおけるBDNF mRNAの安定化機構の解明を行った。その結果、BDNF mRNAの半減期がL型電位依存性カルシウムチャネルおよびNMDA型グルタミン酸レセプター由来のカルシウムシグナルにより延長すること、BDNFmRNAの安定化にはストップコドンより約750塩基下流の3'非翻訳領域(3'UTR)が関与することが明らかとなった。さらに、この3'UTRに着目し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を用いた解析を行ったところ、BDNF mRNAの安定化に関与する2カ所の領域を同定した。現在、さらにこの領域に着目し、mRNA安定化に関与するエレメントを同定中である。 一方で、BDFN mRNAの3'UTR中には数カ所のポリA付加シグナルが存在するが、本研究遂行の過程で、新たなポリA付加シグナルを数カ所同定し、これにより異なる長さの3'UTRを持つBDNF mRNAが複数合成されることが明らかとなった。3'UTRは、mRNAの輸送や翻訳の制御、安定性に関与することから、これらBDNF mRNAは、それぞれが異なる転写後制御を受けることが示唆された。現在、さらに詳細な解析を行っている。
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Research Products
(4 results)