2006 Fiscal Year Annual Research Report
全国自治体病院における経営分析と新医師臨床研修制度が病院経営に与える影響と課題
Project/Area Number |
18890090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北田 雅 京都大学, 医学研究科, 教務職員 (00422949)
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Keywords | 自治体病院 / 病院経営 / 研修医 / 新医師臨床研修制度 / 医学教育 |
Research Abstract |
自治体病院の経営状態とその赤字経営の要因を探るために、以下の方法で検討を行った。自治体病院経営データについて、各支出項目の総支出に占める割合を分析すると共に、全ての支出項目と総支出の関係について回帰分析を行った。これらにより、予想通り人件費が総支出に大きな影響を与えているという結果を得た。立地に起因する該当地域の物価の高低、病院の規模に起因する医療従事者数や病床数等の違いから生じる入院者数、そしてその双方の要因に起因する外来者数等、各病院経営の規模は一様でなく、申請者のこれまでの研究により、その一様ではない経営規模を勘案しても、病院経営に最も影響を与える項目は職員の給与であった事が明らかとなっていた。これは民間病院のそれと比較し優位な差があり、民間病院では平均48%の所、自治体病院のそれは平均55%を占めていた。更に全般的に准看護婦の給与の割合が著しく高値を示したという点が特徴的であった。今研究においても上記の点に留意し、解析を行っている最中である。 我が国では昨今株式会社の病院経営への参入の是非が取り沙汰されているが、米国では営利病院・非営利病院の経営方針ははっきりと分かれており、それぞれの明確な役割を果たしている。こうした米国の病院経営状況の視察および関係者との討論を行い、日本における病院経営の改善点を考える上で参考になる点を探る予定であったが、双方のスケジュールの都合により、19年度最初に持ち越しとなった。薬剤・資材のコスト管理はもとより、医師・看護師の時間的・空間的適正配置といった人事的側面についても着目して、ヒアリングを行う予定である。 なお自治体病院経営データは年度ごとに発行される地方公営企業年鑑等の自治体病院関連図書を参照し、医療制度・医療保険改革の変遷にづいては医療制度関連図書や、電子計算機を用いてインターネットでの検索により情報を得た。
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