2006 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖球菌が持つCD59指向性コレステロール依存性細胞溶解毒素の作用機構
Project/Area Number |
18890127
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田端 厚之 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助手 (10432767)
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Keywords | 連鎖球菌 / コレステロール依存性細胞溶解毒素 / ILY / Sm-hPAF / huCD59 / コレステロール / 作用特性 |
Research Abstract |
コレステロール依存性細胞溶解毒素(CDC)に属しながらヒト型CD59(huCD59)を認識して反応性を示すIntermedilysin(ILY)及びStreptococcus mitis-derived human platelet aggregation factor(Sm-hPAF)の作用機構解明を目的とし、平成18年度は毒素作用における受容体側要因に注目して、動物細胞及びモデル膜を用いた検討を行った。まず、赤血球に対する反応性については、Sm-hPAFはヒト赤血球と高い反応性を示しながらウサギ赤血球にも反応性を示し、ヒト赤血球に特異的な反応性を示すILYとは異なった傾向を示した。またILYと同様に、Sm-hPAFの赤血球膜への結合性はメチル-β-シクロデキストリン(MβCD)を用いた膜中コレステロール(CHL)の除去処理によってキャンセルされたが、モデル膜系のリポソームを用いた解析結果より、Sm-hPAFはILYとは異なりCHL含有リポソームに結合性を示した。続いて有核細胞に対する作用特性に関しては、Sm-hPAFは推測通りhuCD59を恒常的に発現しているヒト肝癌細胞HepG2に細胞傷害活性を示し、本来低感受性であるラット肝細胞BRL3AにhuCD59を発現させることによってSm-hPAFの細胞傷害活性が増強された。また、MβCD処理により、huCD59発現細胞のみならず、非発現細胞に対してもSm-hPAFの細胞傷害活性の低下傾向が確認された。以上の結果より、Sm-hPAFはその受容体認識機構において、CHLのみと反応性を示す一般的なCDCと、huCD59を特異的に認識してCHLとの反応性を示さないILYとの中間的な特性、つまりhuCD59とCHLの両者を認識して細胞傷害活性を示すことが明らかとなった。現在、CD59再構成リポソームの作製に関する検討を行っている。
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