2019 Fiscal Year Annual Research Report
銅4価を目指した6配位型二重Nー混乱ポルフィリンの合成
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18F18331
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古田 弘幸 九州大学, 工学研究院, 教授 (40244157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BASUMATARY BIJU 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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Keywords | コロール / 高原子価金属 / 有機銅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、未踏な高原子価金属化学種の安定化に向けた特異な平面4配位型炭素及び窒素トリアニオン性のカルバポルフィリン類縁配位子の合成設計を行い、得られる有機金属錯体の構造と酸化還元反応特性の相関関係の解明を目指す。以上の課題遂行により、高原子価金属化学種を鍵とする金属触媒反応の活性・選択性・基質適用範囲の拡大に直結すると期待され、困難なC-H活性化反応による物質変換や小分子活性化の実現など、持続可能な社会に向けて重要な課題である。 本研究計画の二年次の計画成果として、高原子価有機銅(III)種の安定化に向けて、初年度に合成した炭素アニオンドナー性部位を2つ内環に配置するジカルバコロール類縁体の銅錯体の合成を行った。N-混乱ピロールと呼ばれる結合様式の異なる異種ピロールビルディングブロックをジピロメタンの両末端に連結した新規テトラピロール誘導体を合成し、銅(II)塩との反応により、NNCC部位にて配位した有機銅錯体の構造同定を行った。X線光電子分光、X線吸収分光を用いて、銅(III)価種の形成を確認し、加熱による銅-炭素結合開裂に伴う還元的脱離により、内環炭素が連結したコロリン誘導体を与える特異な反応性を示すことを明らかとした。 更に環周辺部位をベンゾ縮環した誘導体を用いることで、銅(II)塩との反応により、ピロール窒素ー窒素結合を有する新たなカルバコロール有機銅(III)錯体の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画2年次の成果として、本研究目標である高原子価銅(III)化学種の反応性の理解に向けた重要な基盤コロール系配位子の合成および対応する銅錯体の合成に成功し、大きな進展が見られた。特に、高原子価銅(III)化学種から還元的脱離により、炭素―炭素(窒素)結合形成による新たなπ共役含窒素PAH化合物の生成についても展開されつつあり、重要な知見がいくつも得られたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にに従い、得られた安定有機銅(III)錯体を基に、dz2の金属軌道エネルギー準位の制御を志向し、軸配位子の結合能と6配位構造がもたらす電子構造、酸化還元特性、光物性等の解析を進める。理論計算と合わせて、構造と反応性の相関の理解を目指す。また、得られた含窒素芳香族炭化水素化合物の電子物性の解析を推進する。
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