2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H00017
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柿沼 亮介 早稲田大学, 高等学院, 教諭
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 外交使節 / 高麗福信 / 地域支配 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、古代国家による地域支配と対外関係には相関がみられるとの仮説のもと、律令制以前の時代から対外交流の窓口となってきた辺縁地域の支配のあり方と、その地域における国際交流について検討し、古代国家の帝国構造を明らかにすることを目的とした。 日本に外交使節を派遣した国のうち、新羅は主に筑紫・瀬戸内海経由で入境したのに対して、高句麗・渤海は日本との位置関係上、日本海経由で入境する事例が多い。しかし、高句麗の場合には筑紫経由の経路もしばしば用いられ、また渤海についても8世紀後半の一時期に日本側が筑紫経由での入境を求めている。このように、外交使節の入境経路として日本海ルートと筑紫ルートの両方が用いられていることに注目し、渤海に対する「北路」禁止指示の背景として、藤原仲麻呂の乱の影響などを検討した。 また、高句麗系の渡来系氏族に対する律令国家による支配のあり方の変化について、高麗福信の一族の改姓と奈良時代の対外関係の変遷を並行して検討した。武蔵国高麗郡の出身である福信の一族は、肖奈公→肖奈王→高麗朝臣→高倉朝臣と改姓を繰り返したが、この背景には、新羅との関係の悪化や渤海の動向、そして藤原仲麻呂政権の外交政策の特徴が関係していると考えられる。 これらの研究により、新羅、渤海との関係と、古代国家による地域支配に相関がみられることが検証された。今後は、今回検討した北陸や山陰以外の地域も含めて、具体的な事例についてさらに検討を進めていく。
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Research Products
(1 results)