2018 Fiscal Year Annual Research Report
古代東アジア諸国の漢字字体の比較から文字の伝播・受容を考える―木簡の例を中心に―
Project/Area Number |
18H00019
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Research Institution | 学校法人たちばな学園 保育・介護・ビジネス名古屋専門学校 |
Principal Investigator |
方 国花 学校法人たちばな学園 保育・介護・ビジネス名古屋専門学校, 講師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 木簡 / 漢字 / 字体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、古代東アジア各国の木簡に用いられた漢字字体の比較分析を通して、漢字文化の伝播・受容の実態を解明することを目的とする。 古代東アジア諸国の中で、日本、中国、韓国の木簡に書かれた字体の距離を測るべく、各国の字体一覧表(以下、「一覧表」と称す)を作成した。各国の木簡の字の形が一覧できるものとしては『日本古代木簡字典』(八木書店、2008年[改訂版2013年])、『木簡字典』(雄山閣、1985年)、『韓国木簡字典』(国立伽耶文化財研究所、2011年)及び各遺跡の報告書の他、データベースに画像が公開されており、書籍とデータベースにて字形を調べ、字体の一覧表を作成した。本研究は日中韓の所用字体の共通点・相違点を探るのが目的なため、文字種は日本古代木簡に頻用される文字を収録した『日本古代木簡字典』に依拠している。本書収録の1270字種について(都城の木簡が中心)、日本全国から出土した古代木簡を調査対象に字形収集を行い、各字形を活字化した後、使用頻度順に並べ、比較検討を行った。韓国の古代木簡の場合は、現在新羅と百済の木簡が確認されるが、両国には文字文化に差異が認められるため、分けて作業を行った。また、地域により、時代により、使用字形に特徴が見られる事例については、字形・字体の収集・調査作業中に注意書きをし、備考欄にその事項を記載した。これは比較研究の重要な検討材料となる。なお、木簡の文字の特徴・位相性を知るべく、同時代の紙媒体の資料となる正倉院文書、『日本書紀』などに関する研究会にも参加した。 一覧表には、1270字種の漢字に対し、約3600種の字体が収録されている。この中で、日本古代木簡の所用字体については、日本木簡学会で口頭発表を行った(2018年12月1日)。その後、2019年3月に日本木簡学会の機関誌となる『木簡研究』に発表内容を掲載したいとの執筆依頼が届き、8月までに原稿を提出する予定である。
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Research Products
(2 results)