2018 Fiscal Year Annual Research Report
投票行動の動態的分析 : 選挙を通じた有権者の政策選好の代表過程
Project/Area Number |
18H00033
|
Principal Investigator |
山本 耕資 , 無職
|
Project Period (FY) |
2018
|
Keywords | 争点投票 / パネルデータ / 再分配政策選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、時間軸に沿った投票の変化と政策選好の変化の、関連の解明と、結果の理論化を目指した。同時に、分析の精緻化を試みた。成果として下記の点が挙げられる。 1 政策選好と投票傾向の関連 現代日本のパネルデータを用いて、投票傾向の変化と政策選好の変化とが関連しているのかを、2017年度までに分析した結果、「日米安保体制の強化」「公共事業による地方の雇用確保」の各争点において、こうした関連が確認された。本年度はこの結果を説明するべく「争点の抽象性・具体性の相違によって有権者の反応が異なる」という仮説を提示し、論文にまとめて投稿を開始した。 2 政策選好の計測方法 質問紙調査の過程で有権者に項目提示・回答依頼する方式が、得られる回答の性質としての抽象性・具体性を左右しうるため、具体的な程度による再分配政策選好の計測方法について、探究を進めた。ここでは、質問紙で架空社会における望ましい再分配を具体的な金額で回答者に答えてもらう項目によるデータを用いた。この際、架空社会の各世帯の税額・給付額の回答のみならず、最低所得水準についての回答も考慮して、再分配政策選好を表現する指標を扱った。分析から、自然言語による抽象的な表現による場合と、具体的な程度による場合とでは、同様に再分配政策に関する回答であってもその性質が異なることが示された。これらの内容を学会等で発表した。 3 社会的属性データの整備 抽象的に表現される争点の意味の理解の相違が、個人の社会的な環境の相違に起因する可能性が高いため、特に職業に着目して、個人の職業分類についての探究を進めた。これは別プロジェクトでの作業を兼ねていた。その副産物として、国際的な職業分類方法に関する日本語資料を作成することができた。これらについて、学会で発表し、資料を公開した。
|
Research Products
(6 results)