2018 Fiscal Year Annual Research Report
購読型学術雑誌のオープンアクセスジャーナル化が教育研究機関へ及ぼす影響
Project/Area Number |
18H00062
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Research Institution | 公益財団法人 東京財団政策研究所 |
Principal Investigator |
横井 慶子 公益財団法人 東京財団政策研究所, 政策データラボ, データ・ライブラリアン
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | Open Access / Flipping journal |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究の目的] OA2020に代表されるように, 購読型学術雑誌のOpen Access Journal(以下、OAJ)化を後押しする動きがある。購読型学術雑誌のOAJ化が加速すれば, 購読費用の減少と同時に、Article Processing Chargeの支払額増加につながると考えられ, 大学にとって大きな問題である。本研究では, 既存の購読型学術雑誌の0AJ化の最新実態を明らかにすることで, 日本の教育研究機関へ及ぼす影響を検討することを目的とする。 [調査方法] 日本の大学図書館が, 多くの購読型学術雑誌を購読している大手出版社5社(Elsevier, Springer Nature, Wiley, Taylor&Francis, Sage)が2014-2019年に取り扱っている購読型学術雑誌を対象に, OAJに転じたタイトル(以下, Flipping journal)を調査した。調査方法は, 各社のJournal Price Listを1年ごとに照合し, その差分からFlipping journalの候補を抽出した上で, 各誌のウェブサイトにアクセスし, 詳細な実態を確認した。 ・[調査結果と考察] 大手出版社5社の2014-2019年間のFlipping journalを179誌確認できた。調査対象期間中は毎年約20タイトル以上のFlipping journalが存在し、2017年は最多となる48タイトルがOAJに転じていた。Flipping journalの傾向としては、比較的に創刊年が新しかった。最も古いもので1907年創刊のタイトルが存在したが、2001年以降に創刊したタイトルが94誌と半数以上を占め、1981年以降の場合は149誌と全体の83%を占めていた。分野は大部分が生物医学分野のタイトルが占めていた。Impact Factorが付与されていたタイトルは123誌と全体の69%を占めており、質に対して一定の評価を得ているタイトルも多く、OAJに転じていることが明らかになった。
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