2018 Fiscal Year Annual Research Report
中学校・高等学校における新しいキログラムの定義の普及に向けた教材開発
Project/Area Number |
18H00087
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Research Institution | 立教新座中学校・高等学校 |
Principal Investigator |
島野 誠大 立教新座中学校・高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 理科教育 / キログラムの定義 / キッブル・バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年5月20日から新しい国際単位系の定義が施行された。国際単位系の中でも、キログラムについては長い間キログラム原器が用いられていたが、新しい定義によりプランク定数でキログラムを決定することになった。この新しいキログラムの定義について中学校・高等学校の理科教育分野での普及を目指し、本研究では、そのための実験教材を開発した。 新しいキログラムを定義するためには、プランク定数の精密測定が必須であり、その方法の一つとしてキッブル・バランス法が知られている。この方法は、量子電磁気的に質量とプランク定数を関係付ける方法であり、今後は質量を精密に決定するための手段として期待されている。このキッブル・バランス法の教育的な普及については、国外ではすでにアメリカ国立標準技術研究所によってLEGOを利用した実験教材が開発されている。そこで、本研究では、このLEGOの教材を再現および改良することにした。その結果、LEGOの教材では、(1)測定時に量子効果まで扱うことができないが電磁気的に質量を決定できることがわかる、(2)LEGOや測定機器の費用が高額になる、(3)デジタル機器を駆使しているため何の測定をしているのか不明瞭になることがわかった。量子効果まで扱う実験教材の開発は極めて困難であることから、特に(2)と(3)のことを改良するために、本研究ではLEGOと比べて安価な天秤である株式会社ナリカの「てんびんI-A型」を利用し、測定がブラックボックスにならないように配慮して電流計やデジタルマルチメーター、そしてオシロスコープを利用する教材を開発した。 開発した教材は、1円玉の質量を約1gと決定することができ、キッブル・バランス法を理解するという目的ならば十分な精度であると考えられる。また、高校物理で学習する、電流が磁場から受ける力、誘導起電力、単振動といった内容を網羅しており、高校物理における総合的な課題としても適切であると考えられる。
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Research Products
(4 results)