2018 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者を対象とした色と形の認知学習を通した、案内用図記号の意味理解教育
Project/Area Number |
18H00164
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
工藤 真生 筑波大学, 附属大塚特別支援学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | ピクトグラム / 知的障害 / 認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1年間の授業(計8回)を通して知的障害者の色と形の名称、意味、弁別等の認知を強化することを目的とした。その上で、JIS案内用図記号のピクトグラム(非常口、トイレ等のマーク。以下、ピクトグラム略)を構成する色、形(赤=禁止、緑=安全、三角=注意、NO=禁止等)を学習し、それが表す意味を習得することを目指した。筑波大学附属大塚特別支援学校に設置されている「ミライの体育館」において、高等部24名の生徒を対象に①色や形の弁別及び描画、②色や形の意味とイメージの理解、③ピクトグラムの意味理解、に関する身体動作を取り入れた授業を実施した。事前調査において、色の弁別は全員が獲得しており、授業前後の形の描画(○△□)の変化は2名(8%)しか差が見られなかった(前年度同調査を実施した中学部段階では70%の生徒に差が見られた)ため除外し、ピクトグラムの意味理解にどのような影響が出るのかを明らかにすることとした。そのための評価方法として、授業開始前と最終授業においてピクトグラムの意味を問う質問紙法アンケート調査を行った。事前調査において、国際標準化機構ISOの理解度調査に則り、理解度を計測した。理解されているピクトグラムは全140種中、9種(6%)であった。事後調査では、授業で学習をした推奨度Aおよび理解度が低い列並びのピクトグラム全62種の理解度を計測した。授業前より授業後の理解度が高まったピクトグラムは41種(66%)となり、身体表出による学習の効果が認められた。特に「一般禁止」の理解度が高まった。また、アンケート用紙への記述から、列並びのピクトグラムは、事前調査では見られなかった「並ぶ」という意味を学習し、記述している生徒が多かったが、何列に並ぶかという点で、縦並びと横並びに誤認が生じていることが明らかとなった。今後、ピクトグラムにおけるグラフィックの改良が求められる。
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Research Products
(3 results)