2018 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援学校(聴覚障害)における絵日記活動を用いた言語発達支援に関する研究
Project/Area Number |
18H00169
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Research Institution | 東京都立大塚ろう学校 城東分教室 |
Principal Investigator |
菅原 充範 東京都立大塚ろう学校, 城東分教室, 教員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 特別支援学校(聴覚障害) / 絵日記活動 / 聴覚障害幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 : 絵日記は、①児の興味・関心に基づいた題材をもとに、絵や写真と発達段階に応じた言語教材で構成し、主に保護者によって作成される。家庭で作成された絵日記は、②学校での教材としても活用され、多様な言語活動が展開される。絵日記活動の継続には、③保護者が主体的に取り組むよう連携支援が要請される。本研究では、全国聾学校で実施されている聴覚障害幼児の絵日記活動について、上記の①~③の実態と課題を明らかにすることを目的とした。 2. 研究方法 : 全国聾学校のうち幼稚部設置校99校の乳幼児教育相談及び幼稚部3学年の担当教師を対象とした。筑波大学人間系研究倫理委員会の承認を得て、郵送自記式質問紙調査を実施した(東28-57)。調査項目は指導経験15年以上の教師4名への半構造化面接の叙述及び先行研究をもとに選定し、聴覚障害教育10年以上の専門家2名の合意を得て、3カテゴリ(①保護者への指導課題の設定状況、②学級での絵日記活動状況、③保護者支援)で構成した。回答は選択記述及び5肢択一とし、結果については2元配置分散分析、カイ2乗検定により項目間差、学年間差を統計的に検討した(p<.05)。 3. 研究成果 : 99校中64校(回収率64.6%)教師258名から回答を得た。絵日記活動を実施している教師は228名(88.4%)であった。①絵日記活動の中で保護者への助言・指導は幅広く展開され、児の興味・関心に根差した絵日記の作成方法、文章の音読・暗誦、語句・構文指導は目標学年での課題設定が良好であった。しかし、会話や語りの質に注目した指導内容や語義説明の導入は目標学年での設定に乏しく、指導充実の必要性が示唆された。②絵日記は、学校での集団指導の教材としても活用され、3歳児では、教師主導で会話が展開されるのに対し、4歳児以降になると、体験内容の発表や幼児相互の会話へと展開していた。しかし、4・5歳間の発達的変化は乏しく、幼児期後期の言語指導充実の必要性が示唆された。③絵日記活動の継続に向けては、児の発達に応じた保護者の取り組みに関する支援と、家庭で保護者が主体的に取り組めるように運用環境の調整が行われていた。しかし、環境調整の実施状況は全体的に乏しく支援の一層の充実の必要性が示唆された。
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Research Products
(2 results)