2018 Fiscal Year Annual Research Report
地域の温泉水を利用した放射線教育-放射線の科学的な理解につながる教材の開発-
Project/Area Number |
18H00224
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中村 麻利子 国立大学法人鳥取大学, 研究推進部研究推進課, 技術補佐員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | ラドン / 温泉水 / 放射線教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習指導要領の改訂により、平成24年度から中学校理科の第一分野の内容に放射線が取り扱われるようになり、さらに平成29年度改訂版中学校学習指導要領では、中学2年にも「放射線の性質と利用に触れる」となっている。申請者は、教員にとって取り組みやすい教材となると考え、地域の自然である三朝温泉(ラドン温泉)の温泉水を利用した教材開発に取り組んできた。東日本大震災以後、社会において、放射線に対する不安や関心が高まる中、放射線について科学的に理解することは重要である。観察や実験を体験し、事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養い、科学的に考えることができるようにするため放射線の科学的な理解につながる教材開発に取り組んでいる。 放射線は、五感に感じることができないが、霧箱を用いれば放射線自体は見えなくてもその飛跡を観察することができるため、放射線教育の教材として用いられることが多い。その線源として各地に存在している温泉水を用いれば、身近なものから学ぶことができるとともに入手も簡単なため、霧箱に活用できる温泉の所在マップ作成に取り組んでいる。平成30年度には、ラドンを含んだ温泉が見つからない都道府県では、湧水や地下水についても検討を行った。平成31年4月末現在39都道府県69温泉7湧水等が霧箱の線源として利用できることを確認した(平成30年度に6都道府県、温泉5+湧水等7を追加)。 ラドンの含有量が少なかったり、泉温の高い温泉水等でも含まれているラドンをできるだけ多く実験に利用できるように採取容器や実験に用いる容器の検討も行っている。 研究成果の一部をもとに、長崎大学原爆後傷害医療研究所主催で原子力規制人材育成事業として開催された島根三瓶山セミナーにおいて池田鉱泉の温泉水を用いて実習を行った。また、分子科学研究所の放射線業務従事者を対象とした教育訓練において特別講演を行った。
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