2018 Fiscal Year Annual Research Report
子供自転車の出会い頭事故の防止と被害低減-自動車側面への衝突の危険性-
Project/Area Number |
18H00284
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Research Institution | 三重県警察本部 |
Principal Investigator |
戸田 均 三重県警察本部, 科学捜査研究所, 技官
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 子供自転車 / 出会い頭事故 / 乗員挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車の側面に6歳児ダミーを乗車させた自転車を約15km/hで衝突させる出会い頭衝突実験を行い、出会い頭事故における自転車乗員の挙動を明らかにするとともに、自転車乗員の傷害の危険性についての検討を行った。 実験の結果、衝突時の自転車乗員の挙動は次のようになることが確認された。自転車が自動車側面と衝突後に、自転車のみ減速し、自転車乗員は乗車時の姿勢のまま進行する。自動車と衝突して跳ね返ってきた自転車のハンドルと自転車乗員の腹部が衝突し、ハンドルを中心として自転車乗員が回転する。自転車乗員が自転車を押し戻しながら進行し、自転車ハンドルを挟んで自動車側面と接触する。自動車との接触箇所を中心として自転車乗員が回転し、頭部が自動車と衝突する。ただし、衝突箇所によっては頭部と自動車が衝突しない場合がある。 上記の乗員挙動において、自転車乗員頭部の速度は、自転車のハンドルと自転車乗員の腹部が衝突した時に大きく減速される。その結果、自転車乗員の頭部が自動車と衝突する時の加速度は、剛性の高いフロントピラーと衝突する場合においても30G程度の値となり、過去に実施した自動車前面に自転車が衝突する形態における衝突時の頭部加速度(約20km/hで走行する車両のフロントピラーの付け根付近と頭部が衝突した場合の加速度は約180G)と比べ低い値となった。また、自転車乗員の頭部が自動車のボンネットや窓ガラスに衝突する場合には頭部加速度はさらに低い値となった。しかし、自転車乗員の胸部や腹部が衝突した時の減速による、胸部や腹部の傷害が考えられること、自動車が走行している場合には、自動車の前面に頭部を投げ出すような姿勢になってしまうため、走行中の自動車のフロントピラーと頭部が直接衝突することがあることから、交通事故被害低減のためには自動車側面への自転車の衝突の危険性も考えなくてはならない。
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