2018 Fiscal Year Annual Research Report
キレート化合物を用いた環境調和型長寿命空気マグネシウム電池の開発
Project/Area Number |
18H00298
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Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 亨 一関工業高等専門学校, 技術室, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 空気マグネシウム電池 / キレート化 / 不動態抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 本研究は、水で発電する空気マグネシウム電池において、負極から溶出したマグネシウムイオンと水酸化物イオンの反応によって生成した不動態(水酸化マグネシウム)による発電阻害を解決するため、キレート剤(EDTA)によるマグネシウムイオンのキレート化およびキレート樹脂によるマグネシウムイオンの吸着により、水酸化マグネシウムの生成を抑制することによる長寿命空気マグネシウム電池を開発する。 【研究方法】 正極を活性炭、負極をマグネシウム合金板、塩化ナトリウム溶液を電解液とした空気マグネシウム電池を作製し、実験に使用した。キレート剤による不動態抑制の実験は、電解液にEDTA溶液を加え、各濃度および各pHにおける放電特性について、負荷としてLEDライトを接続して発電させ、その際の直流電流および直流電圧の変動をデジタルマルチメータで測定した。また、発電停止後、電解液中のマグネシウム濃度をICP-AESにより測定し、不動態の抑制を検証した。キレート樹脂による不動態抑制は、イミノジ酢酸形キレート樹脂を電池内に充填し、各pHおよび樹脂含有量における電池放電特性の検証について、上記と同様の方法により行った。 【研究成果】 電解液にEDTAを含有させて発電した場合、マグネシウム合金板の溶解が早く進行し、発電停止後、電解液中のマグネシウム濃度をICP-AESにより測定した結果、EDTAを含有したものは、含有しないものと比べてマグネシウム濃度が高いことが確認され、EDTAとマグネシウムイオンとの錯体生成による不動態の抑制が検証された。また、キレート樹脂を含有させて発電した場合、マグネシウム合金板の溶解が早く進行し、キレート樹脂を含まないものと比べ、電解液中のマグネシウム濃度が低いことが確認され、キレート樹脂とマグネシウムイオンの吸着による不動態の抑制が検証された。以上の結果から、マグネシウム量を多くした場合でも不動態を抑制することが期待でき、発電時間の延長化が可能と思われる。
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