2018 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムサイズの大きな植物種に有効な遺伝子同定法の開発
Project/Area Number |
18H00346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 敦士 京都大学, 農学研究科, 技術職員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | RNA-seq / 遺伝子マッピング / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】本研究では、RNAシーケンシングを用いて、コムギのようなゲノムサイズの大きい植物種で低コストに遺伝子同定するための解析パイプライン(RNA-QTL-seq法)の開発を目指した。さらに、コムギ近縁野生種の芒の有無に関する遺伝子同定のためにそのパイプラインを適用した。 【RNA-QTL-seq法の概要】開発した解析パイプラインの概要は次のとおりである。(1)遺伝子配列の再構築 : [a]アセンブル、[b]類似配列のクラスタリング、[c]遺伝子配列のゲノム上の位置推定 ; (2)遺伝子マッピング : [a]アライメント、[b]SNPs検出、[c]アリル頻度の算出 ; (3)遺伝子発現解析 : [a]アライメント、[b]リードカウント、[c]発現比較 【研究材料と方法】Aegilops speltoidesの種内交配F_2集団を解析に用いた。芒ありF_2個体35個体と芒なしF_2個体36個体、交配に使った芒あり系統、芒なし系統から幼穂を摘出し、4つのRNAサンプル(芒ありF_2バルク、芒なしF_2バルク、芒あり親系統、芒なし親系統)を構築した。それらをシーケンシングし、上述のパイプラインで解析した。また、候補遺伝子の絞り込みをおこなうために、F_2全個体からDNAを抽出し、SNPs情報から作成したCAPSマーカーを使い、芒多型と遺伝子型の連鎖関係を調べた。 【研究結果】遺伝子マッピングから、原因遺伝子は第3染色体にあることがわかった。また、連鎖解析により、原因遺伝子を含むゲノム領域をさらに絞り込むことができた。発現比較から、その領域内には発現量の異なる遺伝子が88個見つかった。このなかには、別の植物種において形態発生への関与が知られている遺伝子も含まれており、芒遺伝子の有力な候補である。
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