2018 Fiscal Year Annual Research Report
生物の硬組織・軟組織を同時にプレパラート化する技術開発-岩石薄片技術の応用-
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18H00350
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 晃輔 北海道大学, 理学研究院, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 薄片技術 / 樹脂置換 / 軟組織と硬組織の同時観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 研究目的 高等生物は, 軟組織(筋肉等)と硬組織(骨等)からなるボディプランをもっている. しかしながら, これまでの生物学・基礎医学における技術では, 軟組織と硬組織の内部構造を同時に高精度に観察できない. 例えば, ミクロトームを用いた組織切片作成技術は, ナイフで試料を薄く切削する機構を用いるため, 硬い試料を扱えない. この課題を「硬組織と軟組織の内部構造を同時にプレパラート化し, 顕微鏡観察を可能とする技術開発」で解決するのが本研究の目的である. 2 研究方法 (1) 柔らかい部分を硬くする 生物軟体部の硬化には, 軟組織を細胞レベルで樹脂置換し固化する必要がある. 試料を徐々にエタノールに置換し、脱水を行い, エポキシ樹脂に置換して試料を固化する. (2) 高精度な研磨法を確立する 硬組織の微細構造と軟組織の細胞組織レベルの同時観察には, 高精度の研磨面が必要である. 硬度差のある試料の研磨において, より有効な研磨法の確立を試みる. 具体的には, 研磨材での研磨を避け, 固定砥粒を用いて平坦かつ鏡面を得るための研磨法を試行する. 3 研究成果 (1) 研磨に耐えうる十分な硬度を有し、樹脂置換に適したエポキシ樹脂の選定を行えた. さらに, 数種の樹脂置換法を試行できた. しかし、脱水の過程で試料によっては著しい収縮がみられることがわかった. 今後は, 脱水機構における最適プロトコルの検討が必要である. (2) 従来のように研磨材(遊離砥粒)だけの画一的な手法から, 固定砥粒を用いる薄片作製手法の有効性を確認できた. 今後は, 砥粒の粒度の違いによる研磨面の比較や研磨装置の改良などを行っていき, さらに, 研磨方法の確立を行っていく.
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Research Products
(1 results)