2018 Fiscal Year Annual Research Report
慢性骨髄性白血病再発防止を目指したALDH1A1阻害剤による治療戦略
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18H00367
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
八木 健太 岡山大学, 病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / ALDH / Imatinib |
Outline of Annual Research Achievements |
イマチニブ(Ima)は、Bcr-Ablを標的とする分子標的薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)の治療成績を劇的に向上させた。しかし、完全寛解後であっても休薬すると白血病細胞が再増殖し、約60%の患者でCMLが再発する。近年の研究により、CMLの再発には白血病細胞を生み出す源となるCML幹細胞がImaの標的作用部位とは異なる経路を用いて生存していることが明らかとなった。そこで、CML完治にはCML幹細胞の根絶に向けた新たな治療法の開発が喫緊の課題である。 我々はこれまでに、関節リウマチ治療薬であるJAK3阻害薬TofacitinibがImaとの併用において、有意に細胞生存率を低下させること、そしてがん幹細胞のマーカーであるアルデヒド脱水素酵素(ALDH)1A1の発現を低下させることを明らかにした。そこで、新たにJAK-STAT経路の下流に位置するALDHに着目し、CML幹細胞に対するALDH阻害剤の有用性についての検討を行った。本研究では、CML細胞株K562を用いてALDH阻害薬が細胞生存に与える影響について検討した。評価薬剤には、ALDH阻害作用を持つメトロニダゾールおよび4-Diethylaminobenzaldehydeを使用した。ALDH阻害剤の単独曝露では、100nM-100μMの濃度において細胞生存率は低下しなかった。しかし、Ima単独曝露(0.13μM)においては細胞生存率は86%であったが、ALDH阻害剤(50μM)併用によりメトロニダゾールは74%、4-Diethylaminobenzaldehydeは61%と有意に細胞生存率は低下した。 以上の結果から、ALDH阻害剤の併用は、Imaの抗腫瘍作用を増強させる可能性が示された。今後、がん幹細胞におけるALDH阻害剤の生存シグナルに対する作用などの詳細な検討を行うことで、CMLの完治へ向けたALDH阻害剤の臨床応用へと繋がると考える。
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