2018 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧妊娠ラットにおける抗酸化薬の投与による出産仔のストレス軽減作用
Project/Area Number |
18H00369
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
川上 浩平 島根大学, 総合科学研究支援センター, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 高血圧自然発症ラット / 酸化ストレス / コルチコステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : ヒトの本態性高血圧症では、遺伝因子と環境因子が複合して発症に関与している。その中でも、環境要因のひとつとして酸化ストレスの重要性が指摘されている。また、成人になってからの高血圧症の発症には母胎内の環境が影響すると考えられている。本研究では、疾患モデル動物の高血圧自然発症ラット(Spontaneously Hypertensive Rat : SHR)に酸化ストレス軽減作用の機能を有するテンポールを投与し、妊娠および授乳中の母胎の酸化ストレスの低下が心血管病の発症の軽減に関与することを検証した。 研究方法 : 妊娠の雌ラットを対照群(蒸留水)および被験物質群(テンポール)に分け、継続的に被験物質を飲水として投与した。投与期間は膣栓確認後より出産そして離乳までの約50日間でラットは各群5匹とし、出産仔は8匹程度に揃えた。血圧測定は、妊娠前、妊娠7、14日目および出産後7、14、21日後に小動物自動血圧測定装置を用いて行った。乳汁採取は分娩後の7、14、21日後にイソフルラン吸入麻酔下で、搾乳の10分前にオキシトシンをラット背部皮下に投与した後、ラット用片手持ち搾乳器を用いて15分間搾乳を行った。酸化ストレスのマーカーとして8-OHdGを搾乳した乳汁および尿中について分析した。また、出産仔の尿中のコルチコステロンを計測した。 研究成果 : 血圧は被験物質群が実験期間中を通して対照群より低く有意差が認められた。また、尿中の8-OHdGについても被験物質群が対照群より低く有意差が認められた。乳汁中の8-OHdGは両群間には有意差は認められなかった。出産仔の尿中のコルチコステロンでは被験物質群が対照群より低く有意差が認められた。このように妊娠中の母胎の酸化ストレスの低下が心血管病の発症の軽減に関与することが検証され、また、出産仔のストレス軽減にも関与していたことが実証された。今回の仮説が実証されたことは、妊娠中に抗酸化作用の活性がある食品を採取することで高血圧の予防に結び付く可能性が明らかになると考えらえる。
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