2018 Fiscal Year Annual Research Report
オキサリプラチン誘発性末梢神経障害に対するボルネオール自己微乳化製剤の開発
Project/Area Number |
18H00373
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中澤 孝文 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | オキサリプラチン / 末梢神経障害 / ボルネオール |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】オキサリプラチンは大腸がん・胃がんの標準薬物治療として用いられる白金錯体系の抗がん剤である。オキサリプラチンの副作用として高頻度に末梢神経障害が発現し、重度であれば中止または減量が必要となる。末梢神経障害には急性と慢性があり、急性末梢神経障害は寒冷刺激により悪化する知覚異常で、投与直後から2日以内に約9割の頻度で発現する。この発現機序として、オキサリプラチン投与により神経細胞内のTransient Receptor Potential ankyrin 1(TRPA1)チャネルが発現及び活性化し、しびれ及び感覚異常を生じると報告された。さらには、TRPA1阻害剤であるボルネオールをオキサリプラチン誘発末梢神経障害モデルマウスにクモ膜下投与したところ、冷感刺激及び物理的刺激が軽減したと報告された。ボルネオールは清涼感及び特有の芳香を有する二環式モノテルペンであり、香料や清涼剤として一般に広く用いられている。本研究ではボルネオールを主薬とし、オキサリプラチンによる急性末梢神経障害を予防または治療する新規外用剤の開発を目的とする。 【方法】界面活性剤Cremophor EL、補助界面活性剤Labrasol ALF、油性基剤Labrafil M1944CS、ボルネオールを混合したものに水を滴下することでボルネオールを含有した微乳化製剤を作製した。これらの主薬及び基剤の濃度を調節して最適な処方を検討した。 【結果】主薬・油・界面活性剤・水の量を調節することで粒子径を20nmまで調節することが可能となった。また、粒子径20nm台のマイクロエマルジョンの内包率90%以上であることが明らかとなった。以上より均一な小さな粒子径でも高い内包率を有するマイクロエマルジョンの調製が可能であることが示唆された。さらに最適な処方を検討し、2%ボルネオール含有微乳化製剤を作製した。今後は作製した製剤の有効性を検討していく予定である。
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