2018 Fiscal Year Annual Research Report
絨毛細胞の浸潤におけるSIPRシグナルを介したフィブリン分解制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
18H00386
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Research Institution | 医療法人 葵鐘会 |
Principal Investigator |
三木 梨可 医療法人 葵鐘会, 研究員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 胎盤 / 絨毛 / SIP |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤は、胎児由来絨毛細胞の母体脱落膜への浸潤が最も重要なイベントであり、絨毛細胞の浸潤低下によって胎盤低形成を生じ妊娠高血圧症候群を発症する。妊娠初期由来Extravillous trophoblast(EVT)細胞株HTR8/SvneoにリポフェクションでS1PR特異的siRNAを導入した。その結果、S1PR1およびS1PR3発現抑制においてuPAの発現低下とPAI-1の亢進が観察された。一方S1PR2発現抑制においてはuPAの発現亢進が観察された。さらにフィブリンでコートしたボイデンチャンバ-を用いた各S1PR発現抑制HTR8/Svneo細胞の浸潤能試験の結果、S1PR1およびS1PR3発現抑制で浸潤能が低下しS1PR2発現抑制で浸潤能が亢進した。以上の結果からフィブリンの分解がS1PR1/3シグナル下流で促進されS1PR2シグナル下流で抑制されることを明らかにした。数種のPAI-1の抑制薬でHTR8/Svneo細胞をそれぞれ処理し、フィブリン浸潤能試験を行った結果、PAI-1阻害剤で浸潤能が亢進した。 これまでにHDP妊婦の血中においてPAI-1の亢進が報告されており、有用な妊娠高血圧症候群の血中マーカーとなることが期待されている。絨毛細胞の浸潤には、これまで研究の主流であったMMP2/9によるラミニンの分解だけでなく、フィブリンの分解も重要であることが推測された。 絨毛細胞におけるS1PRによるPAI-1、PA発現制御メカニズムを明らかにすることは将来的な妊娠高血圧症候群の投薬治療に向けた基礎実験として非常に重要である。
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Research Products
(1 results)