2018 Fiscal Year Annual Research Report
慢性骨髄性白血病合併妊娠における第二世代・第三世代TKIの胎児への移行性の検討
Project/Area Number |
18H00390
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山崎 香織 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / 妊婦 / チロシンキナーゼ阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠可能年齢の慢性骨髄性白血病(以下CML)の場合、CMLに適応のあるチロシンキナーゼ阻害剤(以下TKI)は「妊娠または妊娠している可能性のある婦人には禁忌」となっているため、挙児希望がある場合の対応が問題となる。TKIのうち、催奇形性や胎児毒性の情報が比較的多いのが、第一世代のイマチニブであるが、最近では、薬効や副作用の面から第二世代TKI(ダサチニブ、ニロチニブ)が使用されることが多い。さらに、頻度は少ないものの第二世代TKIに抵抗性のCMLであれば第三世代(ポナチニブ)を考慮する必要がある。しかしながら、第二世代以降のTKIに関して催奇形性などの症例報告は少なく、胎児への移行性などの情報は皆無である。 今回、第二世代および第三世代チロシンキナーゼ阻害薬(2nd, 3rd-TKI)によって治療をしながら妊婦を継続しているCML患者での、2nd, 3rd-TKIの胎児移行性について検討することを目的とした。 第一に、CML合併妊婦の治療薬と妊娠転帰に関して千葉大学医学部附属病院周産期母性科において、2009年1月~2018年12月に出産したCML合併妊婦をレトロスペクティブに調査した。対象患者は3名(5例)であり、妊娠中のCMLの治療薬は、無治療(妊娠発覚後に中止)が2例、インターフェロンアルファが2例、ダサチニブが1例であった。5例とも児に異常は見られなかった。 第二に、ダサニチブの胎児への移行性に関する情報を得るためダサチニブ服用中の妊婦の出産後、臍帯静脈の採血を行った。ダサチニブを50mg服用中に出産した妊婦の臍帯静脈のダサチニブの濃度は6.4ng/mLであった。 ダサチニブの胎児移行のデータは少ないが、本研究により胎児へ移行することが確認された。今回の検討においては、母体への侵襲を配慮した研究としたため、母体の採血は行わなかった。今後は臍帯血中薬物濃度のみならず母体血中濃度も検討することで、移行性に関する情報が得られることが期待される。
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