2018 Fiscal Year Annual Research Report
ロチゴチン経皮吸収製剤の薬物動態・薬効に及ぼす個人差要因の解明
Project/Area Number |
18H00399
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 紀章 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | パーキンソン病 / ロチゴチン / 経皮吸収製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果として、まずN-despropyl rotigotine sulfateおよびN-desthienyl rotigotine sulfateの測定系を作成した。 対象患者は100名の目標であったが、本年度の登録患者は30名であった。各抱合体は、本年度の患者においても測定可能であった。ロチゴチンおよび抱合体と同様に、代謝物の測定系についても液-液抽出による簡便なLC-MS/MS法による測定系とした。検量線は良好な直線性を示し、再現性および安定性についても問題は認められなかった。 ロチゴチンおよび各抱合体、代謝物という主消失経路である5種類の血中濃度測定を行い、個人間で大きな変動があることを確認し、消失過程にばらつきがあることが示めされた。変動要因を評価する必要性がより高まったと判断された。吸収過程についても使用済貼付剤からの残存量測定について評価中である。 次に、遺伝子変異を確認する部位として、まずSLUT1A1*2(^<213>Arg→His)を対象とした。注目した理由は、同部位が変異を起こすと硫酸抱合活性の低下および熱安定性の低下を引き起こすことが報告されていること、中国人女性での研究において遺伝子変異頻度が高いことなどが挙げられた。SLUT1A1*2遺伝子の抽出および変異確認に問題は認められなかった。現時点においてSLUT1A1*2遺伝子変異と血中濃度に有意な相関は認められていないが、症例数が少ないため、変異頻度の評価、動態変化要因の可能性の有無については解析できる段階に達していない。今後の症例数を増やす必要があると考える。 本研究実施により個人差変動要因の解明を継続することは、パーキンソン病患者における治療効果を大きく引き上げ、有害作用発現の軽減の一助になり、医薬品の適正使用に貢献する社会的意義があると考える。
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