2018 Fiscal Year Annual Research Report
がん疼痛患者におけるフェンタニル舌下錠の使用中止に影響する因子の探索
Project/Area Number |
18H00421
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 博史 名古屋大学, 医学部附属病院, 薬剤室長
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | フェンタニル舌下錠 / がん疼痛 / 突出痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
フェンタニル舌下錠(商品名 : アブストラル)は強オピオイド鎮痛薬を定時使用中のがん患者の突出痛に対して使用されるレスキューオピオイドである。しかし至適投与量が定時オピオイド鎮痛薬の投与量と相関せず最低用量からのタイトレーションが必要であることや、1日の投与回数制限があるなど使用方法が他剤と大きく異なるため、導入後も突出痛のコントロールが出来ず中止に至る症例も見受けられる。本研究では、アブストラルの使用実態を調査し、突出痛のコントロール不良に至るリスク因子を後方視的に調査した。 2013年12月1日から2018年12月31日までの期間に当院にてアブストラルを入院下で導入された患者を抽出した。1. 対象患者の年齢、性別、PS、肝機能および腎機能検査値、2. 定時投与オピオイド鎮痛薬の種類および投与量、3. 持続痛の有無、4. アブストラルの選択理由、5. アブストラルの中止理由、について調査した。アブストラルによる突出痛コントロール良好群と不良群に分け、多変量解析によりコントロール不良に関連するリスク因子を検討した。 対象患者は57例であり、突出痛コントロール良好群35例、不良群は22例であった。多変量解析の結果、アブストラルによる突出痛コントロール不良に影響を与える背景因子として持続痛の存在(オッズ比 : 3.947、95%信頼区間 : 1.057-14.733、p<0.05)が有意な因子として見出された。 本研究では、定時投与オピオイド鎮痛薬使用下においても持続痛が残る患者にアブストラルを導入しても突出痛のコントロールが十分に出来ない可能性が示唆された。アブストラル導入時には定時投与オピオイド鎮痛薬における除痛効果の評価を適切に行い、持続痛が適切に管理されているかを確認することが重要であると考えられる。
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