2018 Fiscal Year Annual Research Report
ベンダムスチンによる遅発性好中球減少症のリスク因子解析
Project/Area Number |
18H00434
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
折山 豊仁 東京大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | ベンダムスチン / 骨髄抑制 / リスク因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗悪性腫瘍薬であるベンダムスチン(BDM)は、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫やマントル細胞リンパ腫などの造血器腫瘍に用いられる抗悪性腫瘍薬であり、臨床において非常に重要な位置づけの薬剤となっている。BDMの治療強度を維持して継続的な投与を行うことは、治療成績にも大きな影響を与えるため、有害事象のマネジメントは治療成績の向上及び患者QOLの観点からも非常に重要である。BDMの主な有害事象として骨髄抑制が知られており、国内第2相試験において好中球1000/mm3未満となる骨髄抑制の発現率は72%と高頻度であり、用量規制毒性となっている。また、BDMの骨髄抑制は通常の抗悪性腫瘍薬とはややパターンが異なっており、長期的なリンパ球減少を引き起こすことが知られており、注意喚起がなされている。さらに、好中球減少についても遅発性に発現することが近年報告されており、臨床上も遅発性の好中球減少が原因で治療延期となる症例が散見されが、BDMによる遅発性好中球減少のリスク因子については、血清中BDM濃度の影響も含め、ほとんど報告が無いのが現状である。 そこで、本研究ではBDMの薬剤性好中球減少リスクと投与量、BDM血中濃度、併用薬剤および他の患者背景情報との関連性について解析することを目的に本研究を実施した。 副作用発現状況の観察結果として、濾胞性リンパ腫に対しBDMを投与した39症例のうち、PDによる中止2例を除く37症例について解析を行い、予定コース数を投与できたのは27症例(投与完遂群、73.0%)で、予定コース数終了前に中止となったのは10症例(中断群、27.0%)であり、いずれも有害事象に起因した治療中止を認めていた。投与完遂群と中断群では年齢、腎機能、過去の治療レジメン数に差を認めなかった。骨髄への浸潤症例は完遂群37.0%、中断群60%と中断群で高い傾向を認め、より詳細な検討が必要であると思われた。また、薬物血中濃度の測定については、現在定量系を構築中であり、定量系が構築でき次第、血中濃度測定を行い、臨床情報および副作用発現の有無との関連性について解析を行う予定である。
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