2018 Fiscal Year Annual Research Report
デノスマブの体内動態に血清イムノグロブリンとRANKLが及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
18H00439
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
志田 拓顕 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2018
|
Keywords | デノスマブ / LC-MS/MS / 体内動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 デノスマブは、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体であり、固形癌骨転移等による骨病変の治療薬として用いられる。前立腺がんや乳がんでは20~30%の割合で骨転移が生じる。デノスマブは骨転移に伴う骨折等の骨関連事象に対して優れた有効性があるとされている一方で、重篤な有害作用として死亡例を含む低カルシウム血症が報告されている。 抗体医薬の薬物動態は個人間差が大きいことが一般に知られているが、実臨床におけるデノスマブの薬物動態はこれまでほとんど検討されておらず、薬物動態の変動要因も不明である。我々はこれまで、LC-MS/MSを用いた新規血清中デノスマブ定量法を確立し、デノスマブの血清中濃度に大きな個人間差があり、血清グロブリン濃度と関連する可能性があることを見出した。そこで本研究では、血清グロブリンの分画を詳細に解析し、デノスマブの血清中濃度に与える影響をさらに詳しく検討することを目的とした。 2. 研究方法 デノスマブを投与されているがん患者を対象に、血清中濃度が定常状態に達していると考えられる6回以上の投与を受けた患者の投与直前の残血清を用いて、デノスマブ投与直前の血清中濃度を測定した。また、ELISAキットを用いて血清のIgG濃度を測定した。なお、本研究は所属施設の倫理委員会の承認を受けて実施し、被験者には事前に文書を用いた説明を行い同意を得た。 3. 研究成果 がん患者における血清中デノスマブ濃度のトラフ値として7.5-67.5μg/mLと大きな個人間差が認められた。また、血清中デノスマブ濃度と血清中IgG濃度が有意に相関していた。 今後は、より症例数を増やして詳細な解析を行うとともに、標的分子依存性の消失という抗体医薬の別の消失プロセスに着目し、血清中濃度の個人間差についてより詳細に検討していく予定である。
|
Research Products
(1 results)