2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H00454
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
五十嵐 陽一 高知大学, 医学部附属病院, 医員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 変形性膝関節症 / 膝蓋下脂肪体 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的 : 膝蓋下脂肪体(Infrapatellar fat pad : IPFP)は膝関節包内に存在し、滑膜と接する脂肪組織である。IPFPは血管と神経支配が豊富であり、様々なアディポカインやサイトカインを分泌して関節内の炎症に重要な役割を果たすことが知られている。変形性膝関節症(膝OA)ではIPFPの炎症性変化が増悪し、MRIにおけるIPFPの輝度変化は滑膜炎の程度を反映するとの報告がある。しかし、膝OAの病態においてMRIの輝度変化が示す意義については十分に明らかとなっていない。膝OA患者において、IPFPのMRI輝度変化に影響を与える因子を調査した。 方法 : 膝OA患者54例58膝を対象とした。単純X線像でK-L gradeを評価し、MRIを用いてIPFPの輝度変化の有無と体積を評価した。輝度変化の評価にはT2強調脂肪抑制矢状断画像を用い、体積計測にはT1強調脂肪抑制矢状断画像を用いた。痛みの評価として、歩行時および安静時痛のvisual analogue scale(VAS)、膝前面痛の有無およびIPFP部の圧痛閾値を調べた。各々の因子がIPFPの輝度変化に与える影響について統計学的に検討した。 結果 : MRIで輝度変化が見られた症例は46膝(79%)であった。IPFPの体積は15.1[12.7-18.3](㎤)、痛みVASは安静時10[0-30](mm)、歩行時60[30-75](mm)であった。膝前面痛を認めた症例は25膝(43%)で、膝前面の圧痛閾値は487[370-607](kPa)であった。IPFPの輝度変化の有無による群間比較では、PPTに有意差を認めた。輝度変化の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析ではK-L gradeとPPTが有意な関連因子として検出された。 考察および結論 : MRIにおけるIPFPの輝度変化はX線学的な膝OAの進行度および局所の痛覚過敏と関連し、臨床的な膝痛の強さや部位、IPFPの体積とは関連しないことが明らかとなった。本結果は膝OAにおけるIPFPの輝度変化の意義に関する新たな知見であり、少なくとも輝度変化が滑膜炎のみを反映しているとは限らないことを示唆している。
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Research Products
(2 results)