2018 Fiscal Year Annual Research Report
急性関節炎モデルにおけるアディポサイトカインの働き
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18H00463
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
髙谷 将悟 高知大学, 整形外科学教室, 医員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 急性炎症 / レプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】レプチンの発現量の異なるマウスを用いて、急性関節炎を引き起こすカラギーナンの関節内投与を行うことで、炎症の程度や疼痛行動にもたらされる影響について明らかにすること。 【方法】 野生型マウス(WT群)、高脂肪食摂取野生型マウス(HFD群)、レプチン欠損マウス(ob/ob群)で比較。WT群およびob/ob群は6週間通常食で飼育し、HFD群では野生型マウスを高脂肪食で飼育した。 各群20匹のマウスの右膝に2%カラギーナンを20μ1を注射し、投与前、投与後3時間、24時間において、疼痛行動の評価を行い、安楽死の後に、各群15匹からは右膝蓋下脂肪体を採取、5匹からは右膝関節を摘出した。それらの内6匹からは心臓穿刺により採血を行い、ELISA法で血清レプチン値を計測した。膝蓋下脂肪体は組織が非常に小さく、3匹分を1サンプルとして、各群5サンプルずつ、RT-PCRで炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α、IL-6)のmRNA発現量を比較した。各群5匹追加としてカラギーナン投与前、投与後24時間、72時間で疼痛行動を評価し、安楽死後に右膝関節を摘出した。組織学的評価としては、HE染色で滑膜炎を評価した。 【結果】 血清レプチン値は平均でWT群1.58ng/mL、ob/ob群0.23ng/mL、HFD群24.7ng/mLであった。疼痛行動は、トレッドミルでは、連続歩行時間がob/ob群で有意に低く、他2群では同様であった。またvon Frey testでは各群注射による疼痛誘発を認め、同程度の痛覚過敏となった。RT-PCRでは、IL-1βにおいてはob/ob群>WT群>HFD群とそれぞれ有意差を認めており、またob/ob群では他2群と比較しTNF-α、IL-6で高い傾向にあった。膝組織ではそれぞれの群で炎症細胞浸潤や滑膜重層化は同等であった。 【考察】 過去の報告においては、レプチンによる炎症促進作用の報告がある一方で、抗炎症作用の報告も散見され、レプチンの炎症に対する作用についての結論は出ていない。本研究では、炎症性サイトカインの発現の程度から、レプチンは急性炎症に対して抑制的に働く可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)