2018 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集によるホヤ自家不和合関連遺伝子のアレル解析と系統作製
Project/Area Number |
18H00466
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
倉林 麻貴 名古屋大学, 全学技術センター(理), 技術職員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | ゲノム編集 / カタユウレイボヤ / 自家不和合 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 目的 : 原索動物カタユウレイボヤは海産無脊椎動物の中で最も有用なモデル動物である。しかし個体間の遺伝的多型が高く、これまでにナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)においても安定した純系統作製の成功に至っていない。本種は雌雄同体であるが、自家配偶子とは受精しにくい自家不和合の機構が存在する。本研究では、ゲノム編集により自家不和合制御遺伝子をノックアウトすることで自家受精率を上げ、純系統ホヤを作製しようと試みた。 ② 方法 : カタユウレイボヤ配偶子の自家不和合機構に関わる因子として、精子に発現するs-Themisと卵黄膜に発現するv-Themisが知られている。このうちs-ThemisのPKDチャネルをターゲットとしたTALENを作成し、TALENmRNAをホヤ卵に注入し媒精して育成した。一方でNBRPから供給される近交系ホヤのs/v-Themisのアレルを解析し、その多様性を調査した。 ③ 成果 : TALEN注入後、尾芽胚からゲノムを抽出し変異導入効率を調べると81.4%であった。しかし、TALEN注入個体は幼生期に変態が進まず、死んでしまうことが分かった。この結果は、s-Themisが変態期に体細胞で機能する可能性を示唆する。今後、生殖細胞特異的にTALENを発現させ、自家受精への影響を解析する必要がある。また、2018年内にNBRPから供給された近交系ホヤのs/v-Themis(A、B、B2の3種類が存在する)のアレルを解析したところ、多くの個体でB2と呼ばれるs/v-Themis遺伝子の多くが既知の2アレルに集約されており、そのうち一つのアレルは偽遺伝子であった。従ってこのNBRP近交系においては、他の2種類のs/v-Themis遺伝子(A, B)によって自家不和合が成立していると考えられた。
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