2018 Fiscal Year Annual Research Report
安全な臍帯血移植に向けた基礎研究 : 臍帯血に含まれる間葉系幹細胞の量的質的検証
Project/Area Number |
18H00467
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
高 四強 愛知医科大学, 病院輸血部, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 造血支持能 / 凍結保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
臍帯血移植はドナー負担が少なく冷凍保存された臍帯血を用いるため迅速に活用できる。そのうえGVHDの危険性が低い等の利点のため近年増加している。しかしながら、生着遅延が他の移植法に比べて多く、感染の増加や輸血依存期間の延長が発生し、コストが嵩むだけではなく、生存率を下げる要因ともなる。一般的に臍帯血中の造血幹細胞数と生着率は、正の相関を示すと報告されているが総有核細胞数の閾値を満たさなくても問題なく生着する症例があることも報告されており、生着に寄与する他の要因が存在することも予想される。骨髄微小環境を構成する骨髄間葉系幹細胞は、造血を支持することが知られており、臍帯にも間葉系幹細胞が存在することが知られている。そこで我々は、臍帯血の採取時に臍帯血中に混入した臍帯由来間葉系幹細胞のもつ造血支持能力が生着率を高めている可能性があると推測し、実験を進めた。まず、間葉系幹細胞の保存に適した凍結保護剤を検討するため、Ex vivoで培養した間葉系幹細胞細を一定期間凍結保存後、融解して生存率等を評価した。この結果、簡易的かつ経済的に保存する凍結保護剤を決定できた。臍帯血中の間葉系幹細胞の造血支持能を評価するには、凍結保存した間葉系幹細胞の造血支持能を評価する必要があるが、CD34陽性造血幹細胞等を用いて、凍結保存した間葉系幹細胞の造血支持能を評価した報告は類をみない。このため、細胞数や培養時間、コロニーアッセイの条件などについて検討し、凍結保存した間葉系幹細胞の造血支持能の評価法を確立した。この評価法をもとに、間葉系幹細胞の造血支持能を評価したが、凍結保護剤の種類は造血支持能に影響を与えないことが分かった。今後、凍結保存された臍帯血を用いて間葉系幹細胞を分離し、細胞数と造血支持能の関係等について解析を更に進めていく予定である。
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