2018 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脂肪肝癌細胞を用いたマクロリポファジー・ライソソーム解析と癌化抑制法の開発
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18H00471
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
林 芳弘 高知大学, 設備サポート戦略室, 技術職員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 脂肪化 / 肝細胞癌 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】近年、脂肪肝患者は増加しており、一部の症例は、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis ; NASH)を経て重症化し、肝硬変そして肝細胞癌へと進展する。NASHの治療法は、食事制限や運動以外の方法はなく、有効な治療法もまだ確立されていない。一方、申請者は、高分化肝癌細胞株に、癌抑制遺伝子であるFbxw7(Fbox-and WD repeats domain-cotaining 7)を遺伝子導入しノックダウンすると、肝癌細胞に多数の脂肪滴が出現し、逆に脂質代謝調節機能(マクロリポファジー)機能が亢進する現象を見出した。本研究は、肝癌細胞の脂肪滴沈着とオートファジー機能との相互作用について追究し、ヒト脂肪肝の肝細胞癌への進展にどのように関与しているのかを検討し、臨床に役立てる。 【研究結果】肝癌細胞(Huh-7)のfbxw7が欠失すると電子顕微鏡観察では、脂肪滴の増加と大型化が見られた。また、脂肪滴代謝に関連するSREBP-1(sterol regulatory elementbinding protein-1)タンパクは、Western blot法で成熟型SREBP-1の核内移行の増加を認め、免疫組織化学的にも陽性強度増加を確認した。今回、培養方法を通常の2次元平面培養に加え、生体内の状態に近く、癌の生物学特性をより忠実に反映する3次元培養(スフェロイド作製)による解析を追加実験として行った。その結果、2次元培養では、fbxw7ノックダウン株は、オートファジー機能の検討では、LC3B増加とp62/SQSTM1の低下を認め、促進していることが分かった。Realtime PCRを用いたmRNA解析でも、オートファジー機能の活発化を認めた。しかし、3次元培養では、スフェロイド作製3日目では、オートファジーはノックダウン・コントロール群間には明らかな差が見られなかったが、7日目のウェスタンブロットの解析では、ノックダウン群のLC3B発現は低下、逆にp62/SQSTMタンパク発現は増加し、オートファジー機能の低下が観察された。NASHのFbxw7・オートファジーと肝癌発生に関する臨床病理学的解析では、脂肪滴の多い肝細胞癌部は、少ない肝癌細胞に比べfbxw7陽性像が弱く、同時に、オートファジー機能も低下していることが分かった。 【考察】Fbxw7の発現低下は、脂肪滴の多い肝細胞癌の発生に、そして、オートファジー機能の低下が肝癌の脂肪化およびその悪化に関係し、今後、肝癌治療のターゲットになる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)