2018 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌におけるOPGの発現機構解明と発症リスクマーカーとしての有用性
Project/Area Number |
18H00472
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神崎 浩孝 岡山大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 多型 / OPG / 発症リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究目的] 予後不良である膵癌に対する薬物治療の中心は、殺細胞性の抗癌剤であり、分子標的治療薬はエルロチニブ(抗EGFR)のみと限定的である。分子標的薬は比較的副作用が少なく、患者の身体的・精神的負担の軽減にもつながるため、癌腫を問わず開発が期待されている。膵癌に対する分子標的治療薬及び診断法を確立するためには、治療標的となる分子の探索と有用性の検証が必要である。腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリー(TNFRSF)の一種であるTNFRSF11B(Osteoprotegerin, OPG)は膵癌及び前癌病変において高発現しており、正常膵細胞では発現していない、また、膵癌患者の血漿中にOPGが高発現しているとのこと報告がある(Lipton et al, 2002)ことから、膵癌の発症または病勢進行にOPGが関連していることは明らかであり、OPGが膵癌治療の標的分子となりうることが強く示唆されている。そこで、膵癌治療・診断の分子標的としてのOPGの有用性を検証するため、膵癌患者と健常人のOPG遺伝子中の一塩基多型(SNP)を比較することにより膵癌発症リスクを解析した。 [研究方法] 膵臓癌患者(157例)、非癌患者(228例)からえられた末梢血(IC取得済み)から抽出したDNAをもとに、OPGのプロモーター領域とexon1, 2に存在する15種類のSNPのアレルをダイレクトシークエンス法(ABI PRISM3100)によって判定した。アレル頻度と発症リスクとの関連を統計的に解析した。 [研究成果] 15種類のSNPのうち、プロモーター領域のrs3134071, rs3102735, rs3134070, rs3134069, rs11573805中1種類、Exonlのrs1050927, rs2073618, rs3102734, rs11573808, rs75983133中2種類、Exon2のrs79381198, rs10505344, rs149667027, rs140846266, rs4876870中2種類と発症リスクに高い相関がみられ、マーカーとしての有用性が示唆される結果となった。現在プロモーター領域中のSNPとOPGの発現量の関連について解析中である。
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