2018 Fiscal Year Annual Research Report
resting state fMRIを用いた難治性慢性痛患者の中枢機能評価
Project/Area Number |
18H00473
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
下 和弘 愛知医科大学, リハビリテーション部, 理学療法士
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | resting state fMRI / 慢性疼痛 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性痛患者は非常に多く、適切なマネジメント方法の確立が社会的に求められている。慢性痛では、疼痛部位である末梢だけでなく、中枢神経系の可塑的変化が病態に大きく関わることが知られている。しかし、慢性痛患者の中枢神経の変調を評価す方法は確立されていない。本研究では、中枢神経系の機能的評価として、安静時機能的MRI(以下、rsfMRI)を用いて、難治性慢性疼痛患者の特徴を検討した。 愛知医科大学学際的痛みセンターを初診で訪れた難治性慢性疼痛患者のうち、同意の得られた14名(女性13名、年齢54.3歳±14.0歳〔29-79歳〕)を対象にrsfMRIを測定した。 rsfMRIではデフォルトモードネットワークの活動がみられ、特に内側前頭前皮質と後部帯状回との機能的結合が強い傾向が確認できた。また、内側前頭前皮質を関心領域に設定し、他の脳部位との機能的結合を調べた結果、内側前頭前皮質と側坐核の間の機能的結合が確認された。 慢性疼痛患者では安静時のデフォルトモードネットワークの活動が亢進している可能性が指摘されているが、特に本研究では内側前頭前皮質と後部帯状回との機能的結合が強い傾向が確認された。また、内側前頭前皮質と側坐核との機能的結合は亜急性期の腰痛患者がその後に慢性化することを予測する因子となりうることが報告されているが、疼痛が慢性化している患者においても機能的結合がみられたことから、今後は治療経過に伴って変化があるのかについて検討する必要があると考える。今後は同様のプロトコルでrsfMRIのデータを増やし、臨床症状やその変化などのパラメータとの関連を多角的に検討することを計画している。
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