2018 Fiscal Year Annual Research Report
超高磁場MRIの多チャンネルRF送信における局所磁場分布の高速取得法の開発
Project/Area Number |
18H00483
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
松田 豪 岩手医科大学, 超高磁場MRI診断・病態研究部門, 研究支援者
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 磁気共鳴診断装置 / 送信磁場分布 / actual flip angle imaging |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】磁気共鳴診断装置(MRI)では送信ラジオ波(RF)と人体の干渉による局所磁場(B1+)分布の不均一が発生し、信号の均一性やコントラストの劣化が生じる。この問題を解決する目的で、複数のRFを個別に調整して送信する多チャンネルRF送信技術(pTx)が開発された。pTxでは、各被検体ごとに撮影断面のB1+分布を計測する必要があるが、3次元(3D)actual flip angle(AFI)法などの従来手法では長時間を要するため、検査時間の大幅な延長につながっていた。そこで高速にB1+分布を計測可能とする手法を確立する。 【研究方法】スライスプロファイルを改善するShinnar-Le Roux(SLR)アルゴリズムのRFパルスによる2次元(2D)AFI法を開発し、FA測定精度を3D-AFI法と比較し特性を評価した。2D-AFIでは3種類の帯域(841, 1842, 2549Hz)のSLR-RFパルスを、3D-AFIではハードパルスを使用した。ファントムとボランティアを対象に5種類のFA(10, 15, 30, 50, 70度)と2種類のスライス厚(5mm, 10mm)にて撮像し、各種撮像条件下での2D-AFIと3D-AFIによる面内FA測定値を比較評価した。ファントムでは3種類のT1値(435, 1027, 2243ms)での撮像を実施した。2D-AFIの撮像時間は2回加算時で11秒、3D-AFIは1回加算時で2分17秒であった。 【研究成果】ファントムではT1値が435msの場合、2D-AFIと3D-AFIとの間には各撮像FAで異なる傾き・切片を持つ一次関数が成り立ったが、T1値が長くなるほどT1緩和の影響により高いFAで線形性から逸脱する傾向となった。また、スライス厚は5mmの方が3D-AFIに近いFA測定値を示した。ボランティアでは撮像FAが30度以上でスライス厚5mm、並びに1842Hz以上の帯域のSLR-RFパルスを使用した場合、T1値の長い脳脊髄液以外の脳領域で3D-AFIと近似したFA分布を約12倍の高速化で取得できた。pTxに必要な撮像時間を短縮することが可能となり、今後の臨床応用へつなげることができる。
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