2018 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙に起因する低出生体重児の胎盤におけるエピゲノム変異の研究
Project/Area Number |
18H00488
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庄子 絵里 東北大学, 医学系研究科, 技術補佐員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 喫煙 / 低出生体重児 / ヒト胎盤幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中のタバコ煙に含まれる有害物質は、出生体重に影響を及ぼすことが報告されている。環境省が主体となって実施している全国10万人の子どもを対象とした『子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)』では、宮城県は妊娠喫煙率が非常に高く、受動喫煙の割合も高い。また、低出生体重児の出生率も高く、特に東日本大震災以降に顕著に見られる。本研究では、エコチル全国コホート調査を活用し、津波被災地の喫煙と低出生体重の影響について多変量解析を行い、リスク要因を明らかにした。 宮城県内の満期産で出産した低出生体重児(201例)と標準体重児(1600名)間で、基本属性(在胎週数、出生身長、体重とポンデラル指数などの出産状況)の比較を行った。その結果、2群間の比較では、受動喫煙の有無で有意な差を認め、受動喫煙と出生体重の関連が明らかとなった(AOR4.2、95%CI2.6-6.6)。また、在胎週数、妊娠期間中の母親の体重増、妊娠前BMIおよび児の性別が出生体重と関連し、在胎日数、妊娠期間中の母親の体重増、妊娠前BMIとは正に関連し、児の性別では男児で出生体重が増加することが確認された。以上の結果より、低出生体重児のリスクとして、受動喫煙の影響が大きいことが推測された。また、広域災害時には栄養学的な環境要因だけでなく、心理的要因も重要であると考えられた。今後は、児の身体的および神経行動学的な発達との関連性についても解析を進める計画である。また、ニコチンの直接作用については、ヒトTS細胞を用いた評価法を行っていく計画である。
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