2018 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線治療における3Dプリント技術とモンテカルロ法を用いたQA手法の開発
Project/Area Number |
18H00509
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
纐纈 純一 筑波大学, 附属病院, 放射線技師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 陽子線治療 / 肺ファントム / モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
陽子線治療において、治療計画CTでは検出できない微細な不均質構造を通過することで生じるブラッグピーク遠位端の拡大が報告されている。この微細な不均質構造は、人体中で肺に多く分布しているため、肺領域の線量計算精度の低下につながる恐れがある。陽子線治療の更なる高精度化を達成するためには、陽子線の肺中での拡大を実測で検証し、その結果を治療計画計算にフィードバックする必要がある。しかし、既存の肺ファントムで、人体の肺の不均質構造まで再現したものはなく、正確な実測検証を行うことは困難である。そこで、本研究では、肺中での陽子線挙動を実測で検証可能にするために、肺の不均質構造を再現した新しい肺ファントムを作成することを目的とした。方法として、微細な不均質構造を正確に表現するために、本研究では、数理技術を用いて、構造の支柱にランダム性がある海綿構造体を設計し、新しい肺ファントムとして3Dプリンターを用いて作成した。次に作成した肺ファントムの検証方法として、人体の肺に照射した先行文献の値と比較をすることで検証した。検証指標として、肺ファントム通過後のpercentage depth dose(PDD)から、ブラッグピークの拡大を表すdistal falloff width(DFW)を測定し、比較に用いた。結果、本研究で作成した肺ファントムは、先行文献の結果と良好な一致を示した。このことから、本研究の手法を基に作成した肺ファントムは陽子線の不均質構造に対する挙動を解析するためのツールとして、有用であると言える。本研究の方法や結果に関する詳細は、論文にまとめて投稿中である。今後は、この肺ファントムをベースに、肺の呼吸による動きも再現可能な手法を考案し、拡大の影響をより高次元に補正するシステムの開発をすることが課題である。
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Research Products
(1 results)