2018 Fiscal Year Annual Research Report
乱用薬物の位置異性体識別に資するオンライン誘導体化質量分析法の構築
Project/Area Number |
18H00511
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Research Institution | 石川県警察本部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
村上 貴哉 石川県警察本部科学捜査研究所, 研究員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | カチノン類 / 位置異性体識別 / オンライン誘導体化 |
Outline of Annual Research Achievements |
乱用薬物鑑定において, 構造異性体の識別は法律の適用の可否を判断する上で極めて重要である. しかし, 危険ドラッグのカチノン類に分類され, 芳香環上にフッ素を有する薬物のo-, m-, p-位置異性体は, 保持時間が近接しマススペクトルも酷似することから, これらを識別することは困難とされてきた. そこで本研究では, 構造決定が難しいフッ素含有薬物の位置異性体を精確・迅速に識別できる分析法の構築を目的とし, 気相トランスアセタール化反応に着目したオンライン誘導体化質量分析法の開発の検討を行った. 分析対象化合物として2-, 3-, 4-fluoromethcathinones(o-, m-, p-FMCs)を用い, これらのフラグメンテーションによって生じるアシリウムイオンを質量分析装置内で環状アセタールと化学反応させることにより, FMCのフッ素の置換位置情報を保持したまま異なる化学構造へと誘導し, そのマススペクトルパターンの変化から本識別が可能か検証した. 今回検証した反応系を以下1~3に示す. 1. イオン源に2-methyl-1,3-dioxolaneを封入した状態で各FMCsをEI法にてイオン化させ, それぞれのマススペクトルを測定した. 2. p-FMCと1,3-dioxolaneの混合溶液をESIインフュージョンし, イオン源パラメーターを変化させながらマススペクトルを測定した. 3. アンビエントイオン化法であるDESIを用い, 紙面もしくはガラス面上に塗布した1,3-dioxolaneに対してp-FMC溶液を噴霧し, イオン源パラメーターを変化させながらマススペクトルを測定した. いずれの反応系においても環状アセタールとの反応は観測されることなく, FMCsの位置異性体を識別することは困難であった. 今後, クリック反応のような高い反応性・選択性を有する誘導体化反応を用いた検討を予定している.
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