2018 Fiscal Year Annual Research Report
小・中学校教職員の食物アレルギー児童生徒のための校内危機管理体制の検討
Project/Area Number |
18H00512
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Research Institution | 鎌倉市立大船小学校 |
Principal Investigator |
高田 薫 鎌倉市立大船小学校, 養護教諭
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Project Period (FY) |
2018 – 2019
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Keywords | 食物アレルギー対応 / 心理社会的要因 / 小中学校教職員 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年の東京都小学校での食物アレルギーによるアナフィラキシーショック疑い死亡事故発生後も、日本スポーツ振興センターの学校事故ビッグデータによれば、学校内での事故が繰り返し発生している。先行研究では、多くが校内体制状況調査や事故事例検討にとどまっている。事故発生時の教職員の対応にどのような要因が関わっていたのかについては検討されていない。本研究では、事故発生時の教職員の対応に関係する心理社会的要因について、面接調査及び質問紙調査から探索的に検討し校内危機管理体制を構築する一助となることを目的とした。 本研究では、小中学校教職員を対象として食物アレルギー事故が発生した場合の行動及びその際の心理的な受け止めについて半構造化面接を行った。面接結果から、事故発生時の教職員の対応に関係する心理社会的要因として6つのカテゴリが抽出され、「事故発生に対する動揺」は「事故を否認する気持ち」をもたらしていたが、事故発生時の対応には「チームの日常的信頼」が最も大きく関係し、また「教師としての専門意識」「校内体制としての役割」「当事者意識」も関係するという各カテゴリの関係構造が明らかとなった。次に既存の食物アレルギー対応における校内体制尺度を今回の面接調査を参考に項目の見直しをし、質問紙調査を行った。質問紙調査は、紙面によるものと教職員個人メールアドレス宛に送付したWeb方式の双方で行った。因子分析の結果、6因子が見いだされ、「緊急時の知識・技術に対して自信がない」ことが「エピペン[○! R]を使用する不安感・拒否感」を与えており、「日常的な職場の雰囲気」「養護教諭の専門性」が「食物アレルギーの緊急時知識」「緊急時の役割」「緊急時の知識・技術に対する自信のなさ」に影響していた。以上のことから、職場雰囲気や同僚間の信頼関係が教職員の事故対応に関係しており校内危機管理体制の構築にはチームが大切であることが示唆された。
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