Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : 小児がん患者の復学後における運動能力の問題と活動量を調査し, 小児がん患者が感じる困難感を明らかにする. ○研究方法 : 入院し化学療法を受けたことがある小児がん患者で, 研究期間中に外来通院している6歳以上の患者を対象に質問紙及び活動量調査を実施した. 外来受診時に保護者と本人の同意を得た後, 質問紙と活動量計(ライフコーダGS ; スズケン)を配布し, 活動量計を1週間装着してもらい質問紙とともに郵送にて回収した. ○研究成果 : 対象者12名(男6名女6名)からデータ収集できた. 質問紙調査結果では, 退院後2週間以内に通学したのは6名(50.0%), 2-4週以内3名(25.0%), 1-2ヶ月以内1名(8.3%), 3ヶ月以上後2名(16.6%)で, ほとんどの患者が比較的早期に復学していたが, 通学頻度を減らしたり午前中のみ参加したりといった部分的な参加から開始していた. 体力については, 発症前と比べ低下したと回答したのは10名(83.3%)で, 体力が回復したと感じた時期については, 「まだ回復していない」6名(50.0%), 「退院1年以上後」4名(33.3%)と改善に時間を要していることがわかった. 退院後の困難は, 階段や坂道などの移動困難, 学校行事の制限, 友達関係の制限や困難が大多数を占めた. 少数ではあるが, 「集中力の低下」「将来の夢や部活を諦めなければならなかった」という回答があった. 活動量調査においては, 1日平均歩数6,166歩(小学生7,849歩, 中学生4,208歩, 高校生5,032歩)であり, 東京都教育委員会が実施した調査(2012)の1日平均歩数10,445歩(小学生11,382歩, 中学生9,060歩, 高校生8,226歩)と比較すると低下していることが明らかになり, 運動強度においても中強度運動(3.6-5.2Mets)の1日平均時間は, 小学生19.6分中学生9.6分高校生7.9分で高強度運動(6.1-8.3Mets)は小学生5.0分中学生1.3分高校生1.5分であった. これらの結果から, 体力低下で復学困難さを感じている患者が多く, また退院後の活動量は低下しており座位での活動といった低強度運動が多くを占めていることが明らかになった.
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