2018 Fiscal Year Annual Research Report
ファントムセンセーションを用いた視覚障害者支援装置の開発
Project/Area Number |
18H00524
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
永利 益嗣 大分大学, 理工学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 視覚障碍者 / 障害物検知 / ファントムセンセーション |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障碍者の中には周囲の音の変化によって障害物検知を行っている方が多数存在する. しかし混雑した場所等では周囲の環境音の変化が多すぎて音による障害物検知を行うことは難しい. 超音波距離センサによって障害物を検知し, それを視覚障碍者に伝える研究が多数行われているが, 障害物が存在するのか, その障害物との距離はどのくらいなのか, その障害物は近づいて来ているのか否かなど多数の情報を視覚障碍者に伝えるのは難しい. 皮膚の離れた2点に刺激を与えるとその間の何も刺激を受けていない場所に刺激が存在するかのように感じる錯覚現象がある. これはファントムセンセーション(以下PS)と呼ばれ, 2点に与える刺激の強さを変化させることにより, PSが発生する位置を移動させることが可能であることが知られている. このPSを利用して, 超音波距離センサから得られた情報を視覚障碍者へ伝達する装置を開発した. 安価な小型偏心モータを2つ皮膚に接触させ, その振動を制御するだけで障害物の位置を検知できることを目指した. 装置を作成し評価実験を行った結果, 障害物が非常に近くにある場合及び障害物が非常に遠くにある場合の判別は出来ていた. しかし, 障害物が計測範囲の中央付近にある場合ではおおよその位置は判定できていたが正確な位置を判定できていなかった. これはPSの出現は触覚の錯覚現象によるものであるから誤差が生じやすい事が理由の一つ, もう一つは今回の施策1号機では制御マイコンにArduino unoを使用したが, 並列処理のできない一般的なマイコンであるので超音波センサによる距離の測定と2個の偏心モータのPWM制御とを同時に処理は出来なかったためであると考えられる. 超音波センサの入力処理をした後にPWMの出力制御を行い1秒のタイムラグの後に再度超音波センサの入力処理を行うという流れである. このような処理系であるので, 実際の現場で使用を考えた場合に障害物及び被験者の移動に対してPSの反応の処理が間に合わなくなると考えられる. 今後はマイコンをより性能の良い物に変えるなどして距離検知の正確性や応答性を高めていくことを目指したい. また, 今回の研究で制作した装置は学生実験や大学開放イベント等で活用していきたい.
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Research Products
(1 results)