2018 Fiscal Year Annual Research Report
肝疾患患者のサルコペニアに対する運動・栄養療法の併用効果の検証
Project/Area Number |
18H00529
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉岡 佑二 京都大学, 医学部附属病院, 理学療法士
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 肝疾患 / 運動療法 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】肝疾患患者に対する運動療法と栄養療法の併用による身体機能改善効果を検討した. 【方法】1週間以上の介入を実施できた肝疾患患者49例を対象とした. 入院時栄養評価に基づき栄養療法(肝不全用経口栄養剤やシンバイオティクス, 亜鉛投与, 夜間軽食摂取など)を行い, 入院当日または翌日より運動療法(1回40分, 5回/週, 筋力強化と持久力強化, 呼吸訓練など)を行った. エネルギー摂取25kcal/kgIBW未満かつタンパク質摂取1.0g/kgIBW未満であった18例を栄養不足群, 残りの31例を充足群とした. 2群間における介入前後の握力, 膝伸展筋力, 歩行速度, 6分間歩行距離, 肝機能を反復測定二元配置分散分析にて比較した. 【結果】介入期間の中央値は16日であった. 握力変化は不足群25.1±9.1→25.5±10.2kg, 充足群27.1±8.6→28.6±9.0kgであり両群とも介入前後で有意差を認めなかった. 膝伸展筋力, 歩行速度はそれぞれ不足群103.6±39.2→109.1±42.0Nm, 1.31±0.44→1.38±0.63m/sec, 充足群122.6±46.2→131.8±43.5Nm, 1.26±0.36→1.38±0.41m/secであり介入前後の主効果を認めた(F=4.33, p=.04およびF=5.43, p=.02). 6分間歩行距離の変化は不足群433±87→434±133m, 充足群439±89→482±84mであり有意な交互作用を認め(F=6.80), 多重比較の結果, 充足群のみ介入後に高値を示した(p=.01). 介入前後の肝機能に有意差は認めなかった. また運動療法実施中に食道静脈破裂や肝性脳症悪化といった有害事象は認めなかった. 以上のことから, 肝疾患患者患者に対する運動療法は肝機能に悪影響を及ぼすことなく, 安全に実施できることが明らかとなった. また運動療法に加えて, 十分な栄養摂取を併用することでサルコペニア予防に寄与する可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)