2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H00618
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 隆博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20237267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 茂人 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (10206683)
小野塚 知二 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (40194609)
鍾 以江 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (40735586)
大木 康 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70185213)
馬場 紀寿 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (40431829)
松方 冬子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (80251479)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東京学派 / 東京帝国大学(東京大学) / 翻訳 / 経済学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度より、「東京学派」に関する議論を多角的に進めるために、大木康氏、馬場紀寿氏、松方冬子氏に新たに参加していただいた。そこで、各メンバーが専門分野ごとの研究イベントを企画し、イベントにはおたがい出席することとした。2019年度中には、近代日本の哲学・社会学・仏教学・経済学に関して研究会をとおして知見を蓄積することができた。 研究代表者自身の企画のなかでは、2020年1月にエディ・デュフルモン氏(ボルドー・モンテーニュ大学)をフランスから招聘して2回の研究イベントを実施した(シンポジウム「シリーズ「東京学派」:その求心力と遠心力(第1回)」と研究会「東京学派とフランスの哲学」)。この招聘により、東京学派とフランスの知的伝統の関係を解明する手がかりを得るとともに、本科研の意義を国際的なかたちで提示できた。 その直後、新型コロナウイルスの感染拡大をうけて、研究イベントの中止・延期を余儀なくされた。研究分担者の海外出張が実施困難になったこともあり、予算の次年度(2020年度)繰り越しを決定した。 研究企画の一部は感染状況の落ち着いた夏以降に、オンライン開催のかたちで実現した。とりわけ、ワークショップ「東京学派と日本古典―源氏物語をめぐって」(10月17日)では、ポール・シャロウ氏(ラトガース大学)と寺田澄江氏(フランス国立東洋言語文化大学)に海外から、時差にもかかわらず参加いただけた。そのおかげで、アメリカやフランスでの研究状況を本科研での議論に織り込むことができた。イベント後には当初の計画どおり、発表者に発表原稿の改訂を依頼し、成果報告ブックレット「ブックレット東京学派」にとりまとめた。2020年度中に刊行・公開したのは下記2号である。1号:『江湖・無縁・アゴラ―もういちど「自由」の在処を探す―』(12月)、2号:『社会学の中の東京学派』(2月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「東京学派」という問題提起が新規参加の研究分担者に好意的に受け止められ、のみならず具体的な研究企画や研究成果報告が寄せられるようになった。さらに、科研メンバー外の研究者からも、「東京学派」に関する研究成果を集めることができた。研究の国際化という点でも広がりが見られた。このように当初の計画以上に研究の進捗がみられていた。しかし、惜しむらくは2020年3月以降の新型コロナウイルスの感染拡大である。これにより重要な研究イベントに延期が生じて、研究成果の原稿とりまとめもその分遅れてしまった。 以上のことから、科研の二年目である本年度は、「おおむね順調に進展している」であったと自己評価したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度予定分のワークショップでの討論や問題提起を踏まえて、東京学派の内実を具体化するという2020年度分の課題にとりくみたい。とはいえ、実際には2021年度(最終年度)での研究成果とりまとめも同時並行することになるであろう。 研究会やワークショップは延期分・新規分ともに実施していき、分野ごとでの東京学派の実態解明を進める。その成果をひきつづき「ブックレット東京学派」として順次刊行・公開する。なお、「ブックレット東京学派」の続刊では英文での刊行も企画が進行している。 そのうえで最終的には、研究領域1「東京学派と哲学・宗教学」・研究領域2「東京学派と経済学・社会学」・研究領域3「東京学派と文学・歴史学」で解明されたことを踏まえて、領域横断的な活動を展開して、最終的に秋ごろをめどに本科研プロジェクトの総括会議を開催する予定である。 また、研究成果の出版に関しては東京大学出版会と協議・交渉している。ブックレット刊行の実績を生かすかたちで書籍化を目指したい。
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Remarks |
東京大学「国際総合日本学ネットワーク」ホームページ内に設置し、研究会ごとに開催告知と内容報告を公開。研究成果である「ブックレット東京学派」も「エッセイ」というカテゴリーで、各号のPDFファイルを公開。
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Research Products
(75 results)